研究課題/領域番号 |
20370029
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
尾崎 まみこ 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00314302)
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研究分担者 |
高野 敏行 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 准教授 (90202150)
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60221082)
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キーワード | ショウジョウバエ / 食欲 / 摂食異常 / 味覚 / 糖受容 / 電気生理 / 代謝異常 / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
食環境への適応と、摂食調節は、生物の生命維持に必要不可欠である。食物摂取は、体内の栄養状態の影響を受けた脳による神経系内分泌系の調節の他、味覚感覚器によっても調節される。 キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いた吻伸展反射実験から、24時間絶食により対照区のMe16G59系統(Me16)に対し100倍もの吻伸展反射感度の上昇、さらに実際の摂食量測定から顕著な食欲亢進を示すTaiwanG23系統(TW1)に注目した。 TW1系統においては、飢餓が進むにつれ、吻の先の味覚器のショ糖感度上昇が上昇し、それに伴いGr64a(ショ糖受容体タンパク質)の発現量の有意な増加がみられた。このことは、TW1系統独自の飢餓対策として、味覚器を使った餌探索に有利な体制になるような進化が起きたことを意味している。そこで、TW1系統と対照として用いたMe16系統を、0mM、10mM、100mMショ糖を餌源にして持続的に飼育し、それぞれの寿命曲線を比べてみると、0mMショ糖給餌条件下では、共に5日以内に全滅し、100mMショ糖給餌条件下では、少なくとも2週間までは共に高い生存率を示すのに対し、10mMショ糖給餌条件下では、Me16系統に比べてTW1系統の生存率のほうが有意に高く保持されることがわかった。 このような実験結果から推測すると、TW1系統に固定された自然突然変異は、実際に自然界において粗悪なエサ条件下にさらされたとき、他系統に比べて長く生存できる可能性が考えられる。
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