研究課題/領域番号 |
20370032
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
邑田 仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90134452)
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研究分担者 |
東馬 哲雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10376527)
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キーワード | 植物 / 進化 / 分類 / 植物相 / ヒマラヤ / 分子系統 / 日華植物区系 / フィールド調査 |
研究概要 |
奄美大島を除く奄美群島と沖縄島北部に分布し、毎年開花する多年草であるオキナワスズムシソウ(以下オキナワ)と、沖縄島中部・北部に分布し6年周期で開花して枯れる1回繁殖型多年草コダチススムジソウ(以下コダチ)を対象とし、オキナワ×コダチの交雑で生じたと考えられる推定雑種の形成プロセスを詳細に検討し、形成された雑種が独立種として確立する雑種種分化が生じているのかを明らかにすることを目的として研究を進めている。 <野外調査>沖縄島のオキナワおよび推定雑種が予定通り結実したので、マーキング個体からの種子採取と、温室での播種を行い、発芽能力を検証した。1年前に開花したコダチは沖縄本島では全部枯死したのに対し、石垣島、西表島では生き残るものが少数あった。コダチの最近縁種であるS.flexicaulisについて台湾で野外調査を行い、比較のためのDNA多型解析および花粉観察用のサンプルを採取し、外部形態を測定した。また、同種あるいは最近縁種が分布することを期待して屋久島および中国浙江省などで調査を行なった。年度末の冬には、コダチが一斉開花したので、オキナワとともにフェノロジーを比較して、開花期に重なりがあることを確認した。 <遺伝学的解析>前年度に選抜した核DNA複数遺伝子領域を解析し、野外集団から採取した個体の遺伝子型を決定して、雑種が両親種間でのどのような交配により生じているのかを調べた。 <交配実験>一斉開花したコダチを含めて、自殖能力の検証のための袋がけ実験を行なった。また、戻し交配の検証のため人工交配実験を行なって種子を得る事が出来たので、今後の実験に使用する予定である。 <花粉形態解析>採取した各サンプルについて高精度実体顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて花粉形態の観察を行なったところ、推定雑種の花粉は両親種の花粉形態の中間形となることが多いが、一定の形態にまとまってはいないことがわかった。
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