研究概要 |
Cdk5(Cyclin-dependent kinase5)は制御サブユニットp35またはp39によって活性化される神経細胞特異的なセリン/スレオニンキナーゼである。Cdk5/p35の新規基質であるCIN85とAATYKがエンドソーム形成とリサイクリングにどのように関わるかを調べた.CIN85はEGF受容体のエンドサイトーシスなどに関わることが報告されているが、神経細胞での解析は殆ど行なわれていない。AATYKはキナーゼ配列を有する機能不明のタンパク質である。我々はCdk5制御サブユニットp35に結合するタンパク質としてヒト脳cDNAから分離したが、最近、リサイクルエンドソームに局在することを見つけた。これらの結果は、Cdk5がCIN85やAATYKという因子を介してエンドソームの形成、リサイクリング等を制御している可能性を示している。 (1)CIN85の細胞内局在の解析 神経細胞内在性のCIN85の細胞内局在を調べるために,蛍光染色法ができる抗体を作成した.CIN85のN末断片,C末断片をそれぞれ大腸菌で発現させ,ウサギを免疫し,CIN85に対する特異的抗体を得た.神経細胞で発現する内在性のCIN85も検出することが出来た. COS-7細胞でも,神経細胞でも顆粒状の構造を染色した.ミトコンドリアタンパクと共染色することより,CIN85はミトコンドリアにも局在することが示された. (2)AATYKの細胞内局在の解析 AATYK1のN末側にはCys残基が見られ,パルミトイル化が予想された.それらをAlaに変異させ,COS-7細胞に発現させた時,リサイクリングエンドソーム局在がなくなり,細胞内に分散して存在するようになった.同時にAATYK1のSrcによるTyrリン酸化も消失し,パルミトイル化がAATYK1の局在やリサイクリングに重要な働きをしていることが予想された.
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