研究課題/領域番号 |
20370052
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川嵜 敏祐 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 教授 (50025706)
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研究分担者 |
MA Bruce Yong 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (00378788)
川嵜 伸子 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (70077676)
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キーワード | 動物レクチン / マンナン結合タンパク質 / ルイスaエピトープ / ルイスxエピトープ / コンピュータモデリング / 糖鎖パターン認識 |
研究概要 |
MBPに対する高親和性を示すリガンド糖鎖(HFPL-ML)の単離に成功し、MBPによる糖鎖認識機構解明の糸口が得られている。本年度はHFPL-MとMBP複合体のコンピュータモデリングを行い、興味深い知見を得た。 Le^aの4量体構造がMBPに対して特に高い親和性を示す理由の一つとして、Le^aは4量体以上の長さになると何らかの規則的な高次構造(おそらくヘリックス)を形成し、Le^aに含まれるフコース残基が特有のジオメトリーをもつMBPの糖鎖結合部位(CRD)と空間的に相補的な場所に位置していることが考えられる。そこで、石黒正路博士(サントリー生物有機化学研究所)の協力によりMBP-CRD 3量体とLe^b-(Le^a)_4-Le^xとの複合体についてコンピュータモデリングを行った。その結果、Le^b単位の2個のフコースのうちLe^a単位部分のフコースがカルシウムイオンを介してCRDに結合する他、隣のLe^a単位のフコースがCRDのLysl83とAspl84と相互作用することが示された。つまり第二の結合部位の存在によりCRD-糖鎖の結合が強化されることが示唆された。さらに興味あることには、3個のCRDにそれぞれLe^b-(Le^a)_4-Le^xが結合すると、これら3個の糖鎖が反対側で束ねられ、花束状構造を形成する可能性が示された。この花束状構造形成には非還元末端Le^xの隣のLe^aの部分にふくまれるフコースおよびガラクトースが関与し、それぞれ、糖鎖間でフコース-フコースおよびガラクトース-ガラクトース結合を生成することによると考えられる。この花束状構造形成にはLe^b-(Le^a)_4-Le^xの5個のLe^aユニットがタンデムに並んでいることが重要であり、4個のLe^aユニットでは成立しない。今後、実験的に検証すべき興味ある仮説の提唱である。
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