研究課題/領域番号 |
20370059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今元 泰 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80263200)
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研究分担者 |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
山下 高廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50378535)
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キーワード | フォトクロミズム / G蛋白質共役型受容体 / 構造変化 / 蛋白質工学 / ペプチド / αヘリックス / 立体構造 / ロドプシン |
研究概要 |
蛋白質は物理的な刺激、基質やリガンドとの結合、他の蛋白質との相互作用などによって、その構造が変化し、生理機能を発揮する。蛋白質の機能と構造は密接に関連しているので、蛋白質の構造や動きを人工的に制御することができれば、蛋白質の活性を自由に制御できると期待される。本計画では、蛋白質の構造変化のメカニズムを理解し、アゾベンゼンなどのフォトクロミックなリンカーで人工的に構造変化を誘導することで、蛋白質の活性を制御することを目指している。 初年度に導入したフーリエ変換赤外分光光度計に、試料照射装置とインラインで紫外可視分光測定を行う光学系を組み込み、効率よく蛋白質の構造変化を検出するシステムを構築した。また、GPCRの構造を制御するために鍵となる分子内相互作用を検討するため、最もよく構造解析が行われており、培養細胞での発現効率が高いウシロドプシンをテンプレートとして検討した。その結果、細胞外第2ループの揺らぎの変化がロドプシンの性質に大きく影響することや、細胞外第2ループの疎水性アミノ酸残基が揺らぎを変化させることが明らかになり、この周辺に摂動を加えると構造変化を起こすことができる可能性が示唆された。また、ペプチドにアゾベンゼンリンカーを組み込んで構造変化を制御するモデル実験では、側鎖に複数のアゾベンゼンを結合させると、異性化状態に関わらずαヘリックス構造をとりやすいことがわかった。そのため、可逆的に構造変化を制御するためには、アゾベンゼンとペプチド(蛋白質)のストイキオメトリーを厳密に制御することが不可欠であることが示された。
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