研究課題/領域番号 |
20370059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今元 泰 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80263200)
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研究分担者 |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
山下 高廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50378535)
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キーワード | フォトクロミズム / PYP / 構造変化 / 蛋白質工学 / ペプチド / αヘリックス / 立体構造 / ロドプシン |
研究概要 |
昨年度までの研究によって明らかにした蛋白質構造変化のメカニズムを応用して蛋白質の動きを制御するため、光異性化によって長さが変化するアゾベンゼンをリンカーとして蛋白質に組み込んだ。モデル蛋白質として、これまでに構造や機能の解析を行ってきたPhotoactive yellow protein(PYP)を用いた。PYPの2残基をシステインに変異させ、そこにアゾベンゼンの両端を結合させることでリンカーとした。PYPの結晶構造、および光を吸収したときの構造変化部位を考慮して、(1)αヘリックス5の2ヵ所をリンクして、シス型リンカーでヘリックス5を安定化したもの、(2)発色団ループとM100ループを連結してリンカーの異性化によって発色団とMet100の位置関係が変化するようにしたもの、および(3)ヘリックス3とヘリックス5の位置関係がリンカーの異性化によって変化するようにしたもの、を設計した。これらにリンカーを組み込み、紫外光照射によってシス型リンカー、可視光照射によってトランス型リンカーの切り替えを行った。PYP由来の吸収スペクトルはトランス型リンカーとシス型リンカーで変化は見られなかったが、それぞれの状態での光反応サイクルを解析したところ、(1)~(3)のいずれの場合もシス型リンカーの時の速度は、トランス型リンカーの時の2-3倍になっていた。また、リンカーのトランス型、シス型を切り替えることによって光反応サイクルの速度も再現性よく変化した。光反応サイクルの速度は、反応中間体の構造を反映すると考えられていることから、蛋白質の構造変化を外的・機械的に制御できることが示された。
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