研究概要 |
(1)蛋白質の相同相互作用データベースの拡充・構築:IntAct, BioGRID, HPRDから蛋白質間相互作用情報を抽出し、蛋白質情報についてUniProtと照合しながら、相同相互作用も含めた相互作用データベースHINTdbの整備を行った。11の生物種におけるnon-redundantな37,993蛋白質に対し、相同相互作用も含めて、これまでの倍以上の総計332,288件の蛋白質間相互作用情報を登録した。 (2)蛋白質間のドッキング・シミュレーション手法の開発と複合体構造予測:蛋白質の分子表面形状を比較し、geometric hashingの手法を用いて極めて高速に蛋白質複合体候補を多数構築するアルゴリズムを開発し、可能な複合体構造の網羅的な発生を可能とした。一方、蛋白質間の相互作用機序が多様であることに基づき、疎水性、静電相互作用、分子表面の形状、の3種類の相互作用の特徴に応じて4つのクラスタに分類し、それぞれで最適になるようなスコア関数を開発した。上記の複合体構造の高速発生手法と新しいスコア関数を、蛋白質複合体予測コンテストCAPRIに参加して適用した。 (3)McMD法によるCoupled folding and binding解析法の開発:cAMP応答配列結合タンパク質CREBは溶液中では変性状態であるが、CBP蛋白質と結合するとヘリックス構造に折り畳まれる。また、神経特異的転写制御因子NRSF/RESTは、コリプレッサーSin3との結合時にヘリックス構造をとり、遊離状態では変性している。これまでに開発したマルチカノニカル分子動力学(McMD)シミュレーションのプログラムを利用し、これら2つの蛋白質複合体の系に対して、結合とカップルした折り畳み過程を、水を厳密に計算に取り込みつつ全原子モデルを使って計算を行った。必要な計算の1/3ほどが終了している。
|