研究課題/領域番号 |
20370061
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
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研究分担者 |
木下 賢吾 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60332293)
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キーワード | 生物物理 / 蛋白質の構造・機能予測 / 生体分子 / プロテオーム / 分子動力学 / バイオインフォマティクス / データベース / 蛋白質間相互作用 |
研究概要 |
(1) 蛋白質の相同相互作用データベースの確立: これまでの解析結果を踏まえ、BioGrid、Intact、HPRDを統合して、HINTdbとHitPmdictを改良した。この新しい版では、遺伝子の共発現データベースの構築で得たノウハウを利用して、相互作用ネットワークの図も追加した。また、遺伝子の共発現データベースCOXPRESdbにもHINTdbのPPI情報を反映させ、新たに4つのモデル生物を加えて、全部で7つの生物種を扱えるようにした。 (2) 蛋白質間の複合体構造予測: 参照状態が異なる7つの経験的ポテンシャルを作成し、それらをSVR(support Vector Regression)で統合したメタポテンシャルの開発を行った。メタポテンシャルを作るに当たっては新しい規格化法を考案し、高い精度のポテンシャル関数を構築することができた。このポテンシャル関数とこれまで開発を行ってきたドッキングシミュレーション手法を合わせて、引き続き蛋白質複合体予測コンテストCAPRIに応用し、良好な結果を得ている。 (3) McMD法によるCoupled folding and binding解析法の開発: 昨年度までに実施した、天然変性蛋白質である転写因子CREBのpKIDドメインと神経特異的転写制御因子NRSFについてのMcMD計算結果がまとまり、どちらの系に対してもCoupled folding and bindingを観測することができた。結合過程の詳細な解析により、(1)あらかじめ結合状態と類似の構造がフリーの状態においても少量ではあるものの準備されており結合状態ではその構造の頻度が急増するというpopulation shiftと、(ii)結合の後に複合体という環境下でfoldingが起きるinduced foldingの、2つのメカニズムが双方とも存在する、という結論を得た。
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