研究概要 |
ヒト細胞の複製クランプPCNAの第2のローダーで、染色体接着に必要とされるCtf18-RFC複合体が、複製DNAポリメラーゼPolεと特異的に相互作用する分子機構の詳細を解析し、以下の結果を得た。 1.Ctf18-RFCとPolε間の安定な結合はCtf18のC末側23アミノ酸に結合した染色体接着因子Dcc1,Ctf8によってもたらされる。またCtf18と結合したRFC2-5サブユニットは独立してPolεと弱い結合を行う。これらPolεと複合体を形成する2つの機能領域は明確にCtf18上で区別でき、この2種類の結合が機能的に独立していることを明らかにした。 2.Ctf18-RFCのサブ複合体でPolεと安定な結合をするCtf18-Dcc1-Ctf8と弱い結合をするCtf18-RFC(5)を再構築してPolεとの結合領域を解析し、いずれもPolεp261の触媒活性を持つN末半分と結合することを明らかにした。 3.このPo1εp261 N末半分の領域に対する2種類の結合性と連係して、Ctf18-RFCのサブ複合体がPolεと弱い結合をする際には、そのDNA合成活性が促進され、安定な結合をする際には阻害されることを明らかにした。したがってPolεにCtf18-RFCが異なったモードで結合することで、複製の進行が制御される可能性が示唆された。 4.ヒト細胞抽出液をglycerol密度勾配遠心で分画し、抽出液中のCtf8、Dcc1を含むCtf18-RFC複合体のほとんどがPolεと安定な結合していることを明らかにした。したがって細胞内ではCtf18-RFCがPolεに抑制的に働くことが染色体接着と複製の連動に重要であることが示された。
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