Schnurri-2(Shn-2)は、BMPシグナル依存的に核内へ移行し、PPARγ2遺伝子の転写活性化に関与することを我々はすでに報告している。Shn-2の転写促進機能のメカニズムを理解するために、Shn-2複合体を精製し、その構成因子の生化学的解析を行い、OGT(O-GlcNActransferase)を同定した。PPARγ2遺伝子は脂肪細胞分化に重要な役割を果たすが、脂肪細胞分化の際に幾つかの転写因子もO-GlcNAcによる修飾を受けることが知られている。Shn-2がOGTによりO-GlcNAc化される可能性を解析した結果、Shn-2は幾つかのサイトで直接O-GlcNAc化されることが示された。OGT活性は細胞内の当代謝と密接に関連することが示唆されているので、この結果はShn-2活性と糖代謝系の関連を示唆するものとして興味深い。 また、我々はコリプレッサーSkiとその関連因子Snoの作用メカニズムを解析している。すでに、Ski複合体には、Smad2/3/4とHDAC3が含まれており、SkiがBMP/TGF-βシグナル経路上の標的遺伝子のbasal levelを抑制するために、HDAC3をリクルートすること明らかにしている。今年度は、Sno複合体を精製し、Smad2/4とTIF1γが含まれることを見出した。TIF1γは、ヘテロクロマチン依存的な転写抑制状態の維持に関与することが示唆されているので、これらの結果は、SnoがSkiとは異なるメカニズムで転写の抑制状態の維持に関与することを示唆している。
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