研究課題/領域番号 |
20370078
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋山 芳展 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10192460)
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研究分担者 |
森 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (10243271)
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キーワード | 膜タンパク質 / 品質管理 / タンパク質分解 / 分子シャペロン / シグナルペプチ / RseP / 枯草菌 / 大腸菌 |
研究概要 |
膜タンパク質が正しく形・維持され、また、異常な膜タンパク質を迅速に修復或いは分解除去することは正常な膜機能の維持に欠くことの出来ないプロセスである。分泌タンパク質は、N末端にシグナルペプチド(SP)を持つ前駆体として合成され、膜透過に伴ってSP部分が切り離される。真核生物では、この切断により生じたSPは膜内切断プロテアーゼの一種であるSignal Peptide Peptidase (SPP)により切断され、膜から除去されると考えられているが、原核生物ではSPPのホモログが存在せず、SPがどのような運命をたどるのかは分かっていない。これまでに我々は、大腸菌のS2Pファミリー膜内切断プロテアーゼRsePが、膜タンパク質RseAの膜貫通配列(TM)を切断する事により、表層ストレス応答に関わる転写因子s^Eの活性化に必須の役割を果たしている事を示してきたが、RseA以外のRsePの生理的基質はかっていない。本研究では、RsePが予想外に広い基質特異性を持ち、RseAとは配列上相同性のない他の膜タンパク質のTMを切断し得る事や、β-lactamase (Bla)のSP由来の配列を含むモデルタンパク質がRseP依存的に切断される事などを見出したことから、RsePがSPの分解に関わる可能性について検した。その結果、RsePが、in vivo、in vitroにおいてBla SP内部の疎水性領域を切断すること、様々な分泌タンパク質のSPがin vivoでRseP依存的に切断を受ける事などが明らかになった。また、枯草菌のRsePホモログ、RasPもSP分解に関わること見出した。一方、これまで、バクテリアでSP分解に関わると推測されていたSppAの欠失によりSP分解は影響を受けなかった。S2PプロテアーゼはバクテリアでSP分解に働くものと推測される。
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