研究課題/領域番号 |
20370081
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
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研究分担者 |
薮田 紀一 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10343245)
奥崎 大介 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00346131)
内藤 陽子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (10553026)
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キーワード | 細胞周期 / 中心体 / 紡錘体形成チェックポイント / LATS2 / GAK / Cyclin G / PP2A B'alpha / リン酸化 |
研究概要 |
今までに我々は紫外線ダメージによって活性化されたChk1/2によりLats2のS408がリン酸化され、下流の14-3-3gammaのS59のリン酸化へつながることを明らかにしている。さらにこのリン酸化をうけた14-3-3がP-body(Processing body)という構造体に局在していることも明らかにしている。現在までに、14-3-3gammaをiRNA法で減少させるとP-bodyの数も減少すること、Chk1/2やLats2の阻害でも同様の結果を示すことを見出し、UV損傷とP-bodyをつなぐChk1-Lats2-14-3-3gammaという経路を発見した。さらに14-3-3のS59のリン酸化抗体を作成し、それをもちいた結合実験で14-3-3のS59リン酸化体と結合しているタンパク質を抽出した。質量分析計を用いた分析を行ったところ、それP-bodyに含まれることが報告されているMyosin 9であった。一方、我々はGAK kinasedead(GAK-kd)ノックアウトマウスの作製とマウス胎性線維芽細胞MEFの樹立をし、その解析を行った。ヘテロ欠失体マウス同士を交配するとE16.5~E18.5では、メンデル則に従っているが、生まれてから4週間経った時点では、メンデル則から大きく外れ、ホモ欠失体は一匹も生存していなかった。そこでどの時点でホモ欠失体が死ぬかを知るために、帝王切開によって生まれた新生児の挙動を調べた。具体的には、18.5日目にプロゲステロンを注射し、19.5日目に帝王切開を行って胎児を取り出したところ、野生型マウスと比較してホモ欠失体は呼吸を開始しても体全体が黄白色のままで、生後30分以内に衰弱して死亡した。この原因を調べるために、新生児から肺および肝臓を摘出し固定後HE染色を行い、各組織の形態を観察したところ、野生型では肺において正常な肺胞構造が見られ、肝臓の細胞も密に存在しているのに対して、ホモ欠失体では肺胞構造の乱れと繊維化、肝細胞の脱落や空洞化が見られた。さらにサーファクタントAやE-cadherinおよびリン酸化EGFRの肺細胞における分布がホモ欠失体で異常であることが分かった。このことから、GAKのリン酸化活性は新生児期の肺・肝組織形成に必要であると言える。
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