血管内皮細胞の細胞間接着の状態での血管内皮細胞の安定化におけるAngiopoietin-1(Ang1)-Tie2受容体系シグナルの解析を進めた。Ang1-Tie2によって増加するDll4-Notch系の細胞間接着安定化機構について調べたところDll4-Notch系シグナルは細胞間接着(+)の時のみ活性化するので、Tie2の下流シグナルAktと強調的にDll-Notch系が機能して、さらにDll4の発現を亢進さぜる結果となった。Aktによって、GSK3betaのリン酸化が生じ、betaカテニンによる転写活性が増加することが重要であることを突き止めた。このDll4の転写増加は、Dll4プロモーターのイントロン3に存在するRBP-J結合配列に結合したNotch細胞内ドメイン(NICD)とbetaカテニンが相乗的にDll4の転写活性を増加するメカニズムがあることがわかった。さらにDll4の転写が増加することによるNICDの増加が起こる。NICDの増加による血管安定化メカニズムを検討した。血管内皮細胞でNICDの増加に伴いコラーゲンTypelVの転写が増加した。3Dの血管内皮細胞のイメージングによってもコラーゲンの増加がAng1依存性に生じることもわかった。以上、Ang1による血管安定化機構にDll4-Notchさらに、コラーゲンの増加による血管内皮細胞の基質接着への増加が示唆された。
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