メダカ近縁種からDMYに続く新たな性決定遺伝子を同定することにより、メダカ属魚類をモデルにして、性決定遺伝子の進化機構を探り、脊椎動物における性決定機構の共通性と多様性を統一的に理解することを目的として研究を行った。本年度の成果の概要は以下の通りである。 1.メダカに最も近い近縁種であるルソンメダカから新たな性決定遺伝子GSDFYを突き止めた。GSDFYとGSDFYおよびメダカGSDFの塩基配列比較から、上流60bp付近にルソンY特異的な配列があり、本配列の獲得によって性分化期の雄特異的高発現が獲得されたと推定された。 2.メコンメダカの近縁種であるソンクラムメダカとペクトラリスメダカの性決定機構を明らかにすることを目的として性連鎖解析を行った。その結果、ソンクラムメダカ(XX-XY型)の性染色体は4番であることが判明した。また、ペクトラリスメダカ(XX-XY型)の有力な性決定遺伝子候補としてGSDFbYが浮上した(組換え率0%)が性染色体の同定には至らなかった。 3.ハイナンメダカの近縁種と推定されるラオス産未記載種はXX-XY型の性決定様式をもち、性染色体は4番であることが判明した。 4.メコンメダカ(XX-XY型)の性染色体が13番であることが判明した。 5.これまで未解明だったセレベスメダカグループの種のうち、セレベスメダカおよびプロファンディコラメダカの性決定様式がXX-XY型であり、性染色体はそれぞれ24番および10番であることが判明した。
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