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私達は、レンズ由来で網膜の発生に重要な役割を持つ分子の探索を、ニワトリ胚のレンズを用いたシグナルシークエンストラップ法を行い、新規分泌型タンパク質Tsukushiを単離しました。網膜におけるTsukushiの発現を調べたところ、Tsukushiが動物種を超えて網膜幹細胞が局在する領域(トリやカエルでは毛様体辺縁部、ヒトやマウスでは毛様体と呼ばれている)に発現していました。ニワトリ胚を用いた実験や生化学的解析から、TsukushiがWnt受容体であるFrizzledに細胞外で直接結合して、Wntが持つ細胞増殖活性を阻害し、網膜幹細胞の細胞増殖を抑えることが明らかになりました。また、Tsukushi KOマウスでは、毛様体が大きくなっていることやsphereの大きさや数が増加することから、Tsukushiが網膜幹細胞の未分化性維持に関与していることが明らかになったので、現在、これらの結果を投稿中です。また、Tsukushiは成体マウス脳において、神経幹細胞が局在する側脳室下帯や海馬にも強く発現しています。Tsukushi遺伝子欠損マウスでは、これらの領域における細胞増殖が増加していました。さらに、Tsukushiは毛の幹細胞が位置するバルジ領域にも強く発現しています。これらの領域の幹細胞の増殖はWntシグナルにより制御されていることから、Tsukushiは様々な領域の幹細胞の増殖制御に重要な役割を持つことが示唆されました。
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