Pri遺伝子がコードする短鎖ペプチド(PRIペプチド)は、シグナルペプチドを持たない新しいタイプの遺伝子産物である。PRIペプチドの生理機能を明らかにするため、以下の研究を行った。 1.ギャップジャンクションを介したシグナル伝達の可能性の検討 PRIペプチドのうち、もっとも小さなものは分子量わずか1000Da程度であり、ギャップジャンクションを介して細胞間を移動している可能性が考えられる。この仮説を検討するため、ギャップジャンクションの構成因子の一つであるinnexin2の変異系統を用い、PRIペプチドの過剰発現表現型がギャップジャンクションの異常により影響を受けるかどうかを検討したところ、inenexin2がpriの細胞非自律的な活性に重要であることを示差する結果が得られた。 2.PRIペプチドの分子機能 PRIペプチドの分子活性を明らかにする第一歩として、細胞内におけるPRIペプチドの構造決定を試みた。タグ付き融合ペプチドとして培養細胞で過剰発現させたpriペプチドは予想よりもやや小さな泳動度を示すバンドとして検出されたため、原在庫のバンドが修飾を受けているかどうかについて、質量分析計を用いた解析を行っている。
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