研究課題
本研究では、縄文時代から弥生時代にかけての古人骨を対象に、古病理学的研究、古人口学的研究、同位体分析による離乳期推定法を組み合わせることで、渡来系弥生集団の人口増加に穀物由来の離乳食の利用が寄与しているという作業仮説を検証することを主な目的としている。そのために、平成22年度は以下の研究を行った。1.古病理学的な研究では、エナメル質減形成のデータ解釈法についての方法論的検討を実施した(連携研究者:澤田純明)。2.古人口学的研究では乳幼児死亡率の推定方法の改良のため、近世の堺市濠都市遺跡から出土した胎児骨・乳児骨で詳細な年齢推定を引き続き行った。また、乳幼児骨を多数包含している愛知県東海市・長光寺遺跡出土資料のクリーニング、副葬品の調査などを継続した(連携研究者:長岡朋人・安部みき子・嶋谷和彦)。3.同位体分析では窒素同位体比による離乳期推定法の確立するために、乳幼児骨における置換速度の年齢変化について、推定値の誤差に関する評価方法を確立した。この新しい離乳期復元モデルに関しては、昨年度、論文を執筆し、学術雑誌に投稿中である。また、このモデルを実際の古人骨資料に応用するために、北海道の続縄文文化に属する有珠モシリ遺跡から出士した乳幼児骨の窒素同位体データ39点について解析を行った。5.日本人形成に係る重要な人骨資料について、直接的に放射性年代測定を測定し、資料の帰属年代を確認した。今年度も引き続き、東大博物館所蔵の弥生時代の頭蓋骨と、沖縄県白保竿根田原洞窟から出土した人骨について、測定を実施した。以上の研究データをもちより、考古学的側面から乳幼児の死因や埋葬形式を研究している連携研究者(日本歯科大学・奈良貴史)などと議論をするために、研究集会を実施した(4月)。
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