研究課題
黄ダイズの種皮着色抑制はカルコンシンターゼ(CHS)遺伝子のRNAiによる(以降、CHSRNAiと省略)。また、CHSRNAiはGmIRCHSによって誘導されることが示唆されている。ダイズの開花数日後に低温に遭遇すると種子のへそ周辺が着色される「低温着色」という現象が起き、北海道の十勝地方では深刻な問題となっている。本研究は低温着色感受性品種トヨムスメと抵抗性品種トヨハルカを材料に研究を行い、低温着色及びその抵抗性の分子機構を明らかにし、低温着色抵抗性個体選抜のための分子マーカー開発に役立てるのが目的である。今まで本研究により、低温着色が低温によるCHSRNAiの機能阻害であること、低温着色抵抗性は低温による機能阻害が小さいことであることが明らかにされた。さらにトヨハルカにおいてGmIRCHSに構造差異が見出された。すなわち、GmlRCHS遺伝子は通常、5領域の欠損したCHS3遺伝子(以降、pseudoCHS3と表記)の逆位反復配列を含んでいるが、トヨハルカゲノムにはpseudoCHS3が逆位反復配列ではなく1つしか存在しないことが明らかになった。平成22年度は、以下の知見が得られた。1.トヨハルカに見出された構造差異を利用して、トヨムスメ型及びトヨハルカ型GmIRCHSをそれぞれ検出できるプライマーセットをデザインした。実際、本プライマーセットを用いたPCRを行うことによってトヨムスメ型及びトヨハルカ型GmIRCHSを特異的に識別できることを確認した。2.本プライマーセットを用いて、トヨハルカ以外の低温着色抵抗性系統においても調査を行った。その結果、ほとんどの抵抗性系統はトヨハルカ型GmIRCHSのホモ接合体であることが明らかになった。
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Theoretical and Applied Genetics
巻: 122 ページ: 633-642
日本作物学会東北支部会報
巻: 53 ページ: 41-43
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/gene/senda/senda.html