研究課題
本研究は、ニコチンアミドヌクレオチド代謝に関する遺伝工学的制御により、ストレス耐性分子育種法の構築を目的として遂行された。NAD代謝に関与する遺伝子の機能およびNAD代謝系の活性化とストレス耐性との関与を解析した。ニコチンアミドジヌクレオチド(NAD(P)(H))は、生物にとって必須の化合物であり、電子輸送体として酸化還元反応の補酵素として機能する。本研究では、シロイヌナズナのNADS,NMNAT,NADK2の過剰発現植物を解析した。発現形質の変化を明らかにするために、細胞内代謝と生育、ストレス耐性に注目し解析を進めた。過剰発現体に対して、それぞれ導入した遺伝子発現および酵素活性が異なる系統を確立し、NAD代謝酵素の活性測定、NAD(P)(H)量の定量、導入遺伝子の発現量の確認を行った。また、表現型の観察(生重量、植物体のサイズ、種子の数及びサイズ、クロロフィル量、光合成)、代謝解析(有機酸、アミノ酸、糖リン酸、核酸の定量)を行った。また、ストレス応答性(乾燥、塩、高温、低温、病害応答など)を解析した。その結果、NAD代謝に関わる代謝物の変化を検出し、上記のメカニズムに関わる代謝物質を同定した。データーの統計的解析を進め、主成分分析、クラスター解析を用い、メタボローム解析結果を検討した。また、NAD代謝に関する遺伝子の解析を行い、カルビンベンソン回路の酵素群の活性測定、および光合成に及ぼす効果が確認された。以上の研究成果は論文、学会等にて公開した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件)
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