研究概要 |
平成23年度に実施した研究とその成果は、以下の通りである。 1)パンコムギ+2H"+Gc'系統に正常パンコムギを戻し交配した子孫から選抜した2H染色体断片を持つ系統を計画通り50系統以上の66系統選抜した。これらの系統について2H特異的な114のESTマーカーを使ってPCR解析を行い、2Hの遺伝学的地図との比較分析を行った。その結果、これまでに発表した他のオオムギ染色体の細胞遺伝学的地図と同様に、染色体末端では細胞遼伝学的地図と遺伝地図ではマーカーの配列順序は一致し、乗換えが頻繁に起こっていること、動原体付近では乗換えが低頻度であることが明らかになったので、成果を取りまとめて、日本遺伝学会第83回大会で発表し、論文としてGnes & Genetic Systcms 86巻に公表した。 2)6H染色体については、前年度、染色体断片系統を得るための基本パンコムギ系統(21"+6H"+Gc')に正常パンコムギを戻した子孫から6H染色体断片を持つ個体を選抜したが、断片系統の出現率が悪かった。そこで、染色体断片系統を得るための基本系統に交配して子孫約400個体を得、さらに選抜を継続した。その結果、合計約30の6H染色体断片系統を得た。6H染色体断片系統の成果を23年度中に論文としてまとめることはできなかったが、平成24年度中には論文として公表する予定である。 3)前年度、1Hの染色体断片系統を得るための基本系統(2n=47,21"+1H"+6H"+Gc')を得ることができなかっため、田染色体断片の選抜ができなかった.そこで、本年度は2n=46で、21"+6H"+Gc'の染色体構成を持つ個体を顕微鏡観察で選抜し、この個体に正常パンコムギを交配して約600の種子を得た。今後、これらの種子から1H染色体断片を得る予定である。
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