研究は、落花生(Arachis hypogaea)種子中のオレイン酸含有量に着目し、Candidate gene approachおよび申請者らが開発した新規手法を用いてオレイン酸含有量に関与するQTL(Quantitative trait loci)の検出を行い、オレイン酸含有量の遺伝様式の解明と選抜DNAマーカーの開発を目標とするものである。 解析集団の両親にはオレイン酸高含有系統に「八I-0311」(オレイン酸含有量約80%)、エリート系統に「ナカテユタカ」(オレイン酸含有量約50%)を用い、21年度までにF_3種子を採種してF_4植物体を育成中である。また、前年度に開発した候補遺伝子領域由来のオレイン酸高含有量に関する選抜DNAマーカー「FAD2A」および「FAD2B」をF_2集団にタイピングし、各F_2後代のオレイン酸含有量と比較することで、これら選抜マーカーの有用性を検証した。すなわち、2つのマーカーの遺伝子型が「八I-0311」型になることで高オレイン酸含有量個体が選抜できることが明らかとなった。マーカーと表現型により選抜したF_2個体について「ナカテユタカ」による戻し交雑を行った後、自殖をしたBC_1F_<3:4>種子を育成した。BC_1F_<3:4>種子は選抜マーカーによるスクリーニングを行った後、22年度に再度戻し交雑および自殖を行って、育種母系を育成する予定である。 また、多型マーカーをゲノムワイドに開発し、連鎖地図の構築を引き続き行うために、トランスポゾン領域を用いたマーカー(TEマーカー)およびSNPマーカーの開発を着手した。TEマーカーは設計した528マーカーのうち両親間で多型を示すマーカーの数は59だった。また、SNPマーカー開発のために次世代型シーケンサー等を用いて合計で00Mbの遺伝子領域の配列を収集した。
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