研究概要 |
トウモロコシの側根原基形成部位における,浸透圧ストレスによって生じる遺伝子発現の変化を捉えるために,側根原基をレーザーマイクロダイセクションを用いて回収し,マイクロアレイ実験を行った.ストレス条件下では輸送に関する遺伝子に発現上昇の傾向が見られた.AK-6b遺伝子を導入,発現するタバコの根の切片を作製し,根内部の解析を行った.主根系である野生型に比べ太く短いひげ根系であった.細胞数は増加し,維管束はほぼ均等に分岐していた.これらはオーキシン輸送阻害剤NPA処理をした野生型根の形態と類似していた.オーキシン応答性レポーター遺伝子DR5:GUSを導入して調べたところ,オーキシンレベルは低下していることがわかった.Reduced root length 3(rrl3)突然変異体は短根以外にも葉色に異常を示すことを明らかにした.そこでこの形質を利用し,RRL3遺伝子の候補領域(142Kb)を更に絞るため,新たな組み換え体の選抜を試みた.その結果,313個体を調査し,39個体の組み換え体を得た.得られた組換え体の数は従来のほぼ倍の数であり,今後調査個体数を3倍程度に増やし候補領域を絞る予定である.イネには質的に異なるL型とS型側根が存在し,特に浸透圧ストレス耐性にはL型側根の誘導が重要である.その誘導機構の解明を試みた結果,浸透圧ストレス下では側根形成部位でのオーキシン感受性が高まり,メリステムサイズ決定に関わるLMSI遺伝子発現が誘導されることにより,L型側根数が増加することが判明した.
|