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2009 年度 実績報告書

野生イネとの比較によるイネの光合成を制御する葉の構造学的要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20380013
研究機関九州大学

研究代表者

上野 修  九州大学, 農学研究院, 教授 (70414886)

研究分担者 千徳 直樹  九州大学, 農業生物資源研究所・光環境研究ユニット, 主任研究員 (10370660)
キーワード植物 / 農林水産物 / 作物生理 / 作物形態学 / 光合成 / イネ / 野生イネ / 葉構造
研究概要

イネ科のイネ属(Oryza)は熱帯・亜熱帯地域を中心に分布する23種からなる農業上重要なグループで、その生育地は明るい湿地から半陰地まで多様である。本研究では、栽培イネと野生イネ等について葉の構造と機能特性の変異の実態を明らかにして、光合成を制御している要因を検討する。
本年度は、昨年度に比べ比較的低い土壌窒素条件下で、野生イネ14種23系統、栽培イネ2種5品種をハウス内で育成し、光合成ガス交換特性を測定した。光合成速度(Pn)は昨年度に比べると全体に低かったが、種間によるPnの変異の傾向は昨年度と類似していた。Pnと気孔伝導度(Gs)、葉肉伝導度(Gm)および葉緑素含量との間に高い正の相関が見られた。一方、葉の気孔特性については、PnおよびGsと表側表皮の気孔開口ポテンシャル(密度密度×孔辺細胞長)との間に正の相関が見られた。また気孔開口ポテンシャルとSLW(比葉重)との間には高い正の相関が見られ、厚い葉を持つものほど葉内へのガス交換を容易にする気孔特性を発達させているものと考えられた。10種のイネ属植物について光合成・光呼吸酵素の活性を測定し、高いRubisco活性、低いC4光合成酵素活性、および高い光呼吸酵素活性を持つことを明らかにした。このため、今回調べた種についてはいずれも典型的なC3光合成を働かせているものと考えられた。昨年度の実験で見出されたC3,C4植物の光合成細胞細胞壁の厚さの変異が、植物全体としてみるとどのように位置づけられるかを検討するために、7種のCAM植物について葉肉細胞の細胞壁の厚さを調査した。その結果、CAM植物の葉肉細胞はC3,C4植物の葉肉細胞に比べはるかに厚い細胞壁を持ち、C4植物の維管束鞘細胞に匹敵することが明らかになった。このことから、植物の光合成細胞壁の厚さは光合成型やCO_2、H_2Oの拡散プロセスと密接に関わっていると考えられた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Comparison of susceptibility to photoinhibition and energy partitioning of absorbed light in photosystem II in flag leaves of two rice(Oryza sativa L.)cultivars that differ in their response to nitrogen-deficiency2010

    • 著者名/発表者名
      Kumagai E, Araki T, Ueno O
    • 雑誌名

      Plant Production Science 13

      ページ: 11-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      上野修(分担執筆)
    • 雑誌名

      作物学用語解説集(農文教)

      ページ: 152-153

  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      上野修(分担執筆)
    • 雑誌名

      湿地環境と作物(養賢堂)

      ページ: 49-56

  • [雑誌論文] Effect of nitrogen deficiency on midday photoinhibition in flag leaves of different rice(Oryza sativa L.)cultivars2009

    • 著者名/発表者名
      Kumagai E, Araki T, Ueno O
    • 雑誌名

      Photosynthetica 47

      ページ: 241-246

    • 査読あり
  • [学会発表] C_3, C_4及びCAM植物における葉肉細胞と維管束鞘細胞の細胞壁の厚さの変異-野外で成長した植物の比較2010

    • 著者名/発表者名
      上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      宇都宮大学農学部
    • 年月日
      2010-03-30
  • [学会発表] ベトナム産F_1水稲品種における登熟期の上位3葉に着目した穂への^<13>C-光合成産物の分配2010

    • 著者名/発表者名
      濱岡範光, 荒木卓哉, 熊谷悦史, Tang TH, Pham VC, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      宇都宮大学農学部
    • 年月日
      2010-03-30
  • [学会発表] 葉肉抵抗とCO_2の漏出との関連から見たC_3, C_4およびCAM植物における光合成細胞壁の厚さの比較2009

    • 著者名/発表者名
      上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター
    • 年月日
      2009-09-29
  • [学会発表] 窒素反応性の異なるイネ2品種における光化学系IIのエネルギー分配および光阻害感受性の比較解析2009

    • 著者名/発表者名
      熊谷悦史, 荒木卓哉, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター
    • 年月日
      2009-09-29
  • [学会発表] 葉の角度が異なるイネ2品種における止葉向背軸両側の光化学系II電子伝達活性と光阻害感受性に及ぼす窒素施肥の影響2009

    • 著者名/発表者名
      熊谷悦史, 濱岡範光, 荒木卓哉, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター
    • 年月日
      2009-09-29

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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