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2011 年度 実績報告書

野生イネとの比較によるイネの光合成を制御する葉の構造学的要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20380013
研究機関九州大学

研究代表者

上野 修  九州大学, 農学研究院, 教授 (70414886)

研究分担者 千徳 直樹  農業生物資源研究所, 光環境応答研究ユニット, 主任研究員 (10370660)
キーワード植物 / 農林水産物 / 作物生理 / 作物形態学 / 光合成 / イネ / 野生イネ / 葉構造
研究概要

イネ属(Oryza)は熱帯・亜熱帯地域を中心に分布する農業上重要なイネ科植物で、その生育地は明るい湿地から半陰地まで多様である。本研究では、イネ属植物における葉の構造と機能特性の変異の実態を明らかにして、光合成を制御している要因を検討する。
イネ属21種45系統について光合成窒素利用効率を調査し、約2.4倍の変異があることを見出した。またグループ間で比較すると、O.sativa野生種(AAゲノム)とO.brachyantha(FFゲノム)の光合成窒素利用効率はO.sativa栽培種(AAゲノム)よりも有意に高かった。これまでの調査により高い光合成速度(Pn)を示すことを明らかにしたO.barchyanthaとそのコントロールとしてO.rufipogonを育成し、生育過程におけるPnの推移を調査した。O.brachyanthaはO.rufipogonに比べ生育後期まで高いPnを維持し、気孔伝導度(gs)に対するPn(Pn/gs値上)も高いことを明らかにした。
イネを含む9種のイネ科C3種について、葉における維管束鞘細胞(BSC)の機能的意義を電子顕微鏡による構造観察と免疫電顕法による酵素蛋白質の蓄積調査により検討した。いずれの種においてもBSCに含まれる葉緑体の数は葉肉細胞(MC)に比べ少なく(MCの20%~59%)、大きさも小形であった(同53%~77%)。ミトコンドリアについてもBSCはMCに比べ少なく(同30%~75%)、小形であった(同46~85%)。一方,葉緑体におけるRubisco蛋白質の蓄積密度にはMCとBSCの間で大きな差はなかったが、ミトコンドリアにおける光呼吸酵素のグリシンデカルボキシラーゼP蛋白質の蓄積密度はMCに比べBSCで低い傾向を示した(同36%~90%)。この結果、イネ科C3植物のBSCは光合成や光呼吸を行っているが、MCに比べその活性ははるかに低いことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Structural and biochemical characterization of the C_3-C_4 intermediate Brassica gravinae and relatives, with particular reference to cellular distribution of Rubisco2011

    • 著者名/発表者名
      Ueno, O.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Botany

      巻: 62 ページ: 5347-5355

    • DOI

      10.1093/jxb/err187

    • 査読あり
  • [学会発表] イネ属(Oryza)植物における光合成能と葉身窒素含量との関係-特に光合成窒素利用効率の変異について2012

    • 著者名/発表者名
      塩田裕之, 立場真衣, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] AAゲノムイネ属植物における異なる施肥窒素条件に対する乾物生産および窒素吸収特性の遺伝的変異2012

    • 著者名/発表者名
      濱岡範光, 内田遊里, 富田匡斐, 熊谷悦史, 荒木卓哉, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] AAゲノム野生イネOryza nivaraにおける乾物生産特性と窒素利用効率-栽培イネとの比較2011

    • 著者名/発表者名
      濱岡範光, 上野修
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      山口大学(山口県)
    • 年月日
      2011-09-01

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公開日: 2013-06-26  

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