研究課題/領域番号 |
20380015
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
村山 秀樹 山形大学, 農学部, 准教授 (40230015)
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研究分担者 |
板井 章浩 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10252876)
立木 美保 独立行政法人農業・食品産業技術津総合研究機構, 果樹研究所果実鮮度保持研究チーム, 主任研究員 (10355381)
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 准教授 (60272085)
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キーワード | 食べ頃判定機 / セイヨウナシ / ラ・フランス / 果実硬度 |
研究概要 |
本研究では、セイヨウナシ果実の樹上完熟を阻害するtreeファクターを解析するために、果実の発育・成熟に関与する転流物質に着目した。最初に、果実への転流物質の流入を阻害するために、果実離層上部の環状剥皮処理または摘葉処理を施した。その結果、環状剥皮処理によって果実への転流物質の流入が阻害されると、樹上においても果実の軟化が促進されたが、果実は完熟する前に落下した。この果実落下は離層部へのNAA処理により抑制され、環状剥皮処理を併用した果実では、樹上でエチレン生成量が増加し、収穫後に追熟した果実と同様に果肉軟化と果皮色の黄化が生じ、適食状態に達した。次に、エチレンと果実落下の関係を調べた。その結果、果実へのエチレン処理は落下を促進し、逆にエチレンの作用阻害剤の1-MCP処理は落下を抑制した。樹上における果実のエチレン生成量は個体でばらつきがみられたが、ほとんどの果実で落下する前に増加した。以上の結果より、転流物質の流入を阻害することで果実のエチレン生成および成熟が促進されること、さらには果実離層部にNAAを処理することによって落下が姉制され、樹上においても果実が完熟することが示された。また、セイヨウナシ果実は樹上においても成熟が進行するものの、自ら生成したエチレンによって完熟する前に落下することが示唆された。次に、師部に含まれる転流物質がセイヨウナシ果実の樹上完熟を阻害するtreeファクターの1つと考えられたことから、セイヨウナシの転流糖であるソルビトールを収穫後の果実に注入する方法について検討した。その結果、木綿糸を果梗に貫通することにより、ソルビトールを連続的に注入することが可能であることが判明した。このことについては、今後詳細に検討する予定である。
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