研究概要 |
異なるパターンの対植に対する日本人と韓国人の眼球運動を比較した朴ら(2006)と同様のパターンの対植に対するアメリカ人30名の眼球運動を解析した結果、個人差が大きく属性による細かな比較検討が難しかったことから、2008年11、12月にさらに50名を対象に追加多験を行った。また、その実験では典型的な2樹種について透かし剪定の有無による眼球運動の比較解析も行った。その結果、対植に対するアメリカ人の停留点分布には朴ら(2006)で報告した韓国人の傾向と類似し、日本人とは異なるζとがわかった。これは、対植やグリ,ド植栽の多い韓国やアメリカと、それらが少ない日本に生まれ育った人々の間で対植に対τる眼球運動に違いが見られたことであり、それぞれの国に一一般的な植栽の特徴と眼球運動0問の関連性を示唆するものである。また、透かしの有無については、多くのアメリカ人被題者が透かしていない樹形を好んでおり、日本人とは大きく異なった。こうした室内実験の一方、実際の庭園における対植の視覚心理的効果を実験的に検討した結果、幾何学式庭園の車線を強調する効果のあることが明らかとなった(須田ら、2009)。これらの実験も含めて9月には韓国・緑地環境デザイン学会で緑地の視覚心理的効果について招待講演し(藤井、008)、合わせてオリエンタルハーブとウエスタンハーブの香りに対する脳血流反応の違い1:ついて発表した(Jo et aL, 2008)。脳血流については、異なる芝草に対する視覚・触覚の反応の関係についても研究発表した(小埜木ら、2008)。 さらに、平成21年3月に次年度予定の対植に対する中国人の眼球運動計測について北京林業大学で打ち合わせするとともに、中国庭園の植栽や石組みの特徴について現地調査し、文植が一般的であることを確認した。
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