研究概要 |
トマト'M570018'とトマトの野生種S.pimpinellifolium'PI124039'の交配に由来する戻し交配系統BC_2F_1集団の個体に反復親'M570018'を交配してBC_3F_1系統を育成した。この集団について多型解析を行い,目的とする部分のみが置換された個体56系統を選抜した。この結果,第1染色体下腕部,第9,10染色体を除く領域をカバーする部分置換系統群が作成できた。そこで,前年に明らかにした開花時期までの日数と花房下葉数を制御するQTL(DTF QTLとLN QTL)のファインマッピングに向け,DTF QTLとLN QTLが検出された染色体領域の部分置換系統を用いてさらにQTL解析を行い,同じ領域にQTLが検出されるかどうかの確認を行った。このため,BC_3F_1集団についてグラフ遺伝子型を求め,第3染色体および第7染色体のゲノム領域が部分置換した2つの系統を選抜し,これらの自殖種子からBC_3F_2集団を育成した。第3および第7染色体の部分置換系統について,BC_3F_2集団148系統および167系統を25/20℃で育苗した後,温室条件下で栽培し,DTFとLNの表現型評価とQTL解析を行った。その結果,第7染色体上の末端に位置するマーカーAtlg55870近傍にDTF QTLが1つ検出された。このマーカーについて,トマトに由来するホモおよびヘテロ接合,S.pimpinellifoliumに由来するホモ接合の個体に別け,DTFについてF検定を行ったところ,S.pimpinellifoliumに由来するホモ接合個体はDTFが有意に小さかった。また,第3染色体の部分置換系統ではLN QTLが検出され,S.pimpinellifoliumに由来するホモ接合個体はLNが有意に大きかった。今後は,第3染色体部分置換系統について,ファインマッピングを進める予定である。
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