研究概要 |
本課題では,バラ科果樹に加え,トマトをモデル作物としてESTデータベースに存在する糖輸送体の網羅解析を行う. 1,糖輸送体遺伝子のクローニング かずさDNA研究所が構築したトマト完全長cDNAデータベースに見出した全ての糖輸送体クローンの塩基配列を決定した.それらは,SUT/SUCファミリー3種,STP/HXTファミリー5種,PLTファミリー1種,ITR/MITファミリー1種,pGlcTファミリー3種,AZT/MSSPファミリー2種,SFPファミリー3種,VGTファミリー2種の合計20種であった. 2,生化学的解析 (1)遺伝子発現解析:上記の20種の糖輸送体遺伝子の発現を調べるために,各遺伝子に特異的なプライマーの作製を試み,これに成功した.それらプライマーを用いた半定量的RT-PCRを行い,器官別,果実の成長ステージ別の遺伝子発現を明瞭に検出できることを確認した. (2)糖輸送活性:SFPファミリーのcDNAを酵母発現ベクターに組み込み,酵母LBY416株に導入して糖輸送活性の測定を試みたが,バックグラウンドが高く解析できないことが明らかとなった.このため計画を変更して予算を平成21年度に繰越し,バックグラウンド活性の低いEBY VW4000株を取り寄せて,その形質転換酵母を作製した.現在,その酵母を用いた糖輸送活性の測定を進めている. (3)細胞内局在:GFP融合タンパク質の一過的発現による細胞内局在の検定を行うために,SFPファミリーとVGTファミリーについて発現ベクターの作製を試み,それを完了した. 3,形質転換体の作出 カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター下に,SFPファミリーをノックダウンするためのRNAiカセットを連結した植物形質転換用ベクターを構築し,トマトへの形質転換を進めた.既にいくつかの形質転換シュートが得られている.
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