研究課題/領域番号 |
20380020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
細川 宗孝 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40301246)
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研究分担者 |
海藤 真典 京都大学, 農学研究科, 助教 (20314247)
松下 陽介 花き研究所, 研究員 (00414665)
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キーワード | ウイロイド / キク / キクわい化ウイロイド / 機能性RNA / 開花反応 / 長距離移行 / プロモーター活性 / 局在性 |
研究概要 |
ウイロイドはタンパク質をコードしない245-401ヌクレオチドの小さなRNAであり、植物に感染するとわい化などの形態的病徴のみならず、早期開花や日長反応性のかく乱などの生理的な病徴を引き起こす。このことから、ウイロイドの配列は高度な機能性RNA配列を含んでいることが推測されている。そこで、今回は二つの実験によってウイロイドの機能性配列の直接的利用および将来的に利用するための基礎的知見の収集を行った。 CSVdの配列を35Sプロモーターに連結しそのプロモーター活性の増強能力を調べた。CSVdをアンチセンスで組み込み、タバコに形質転換した場合にプロモーター活性が1.5~数倍に増強した。これはウイルスのエンハンサーを組み入れた場合よりも低い増強能力であったが、明らかな増強能力を持つことが判明した。また、35Sプロモーターから転写したRNAにさらなるRNAの増幅性があるか否かを調査した。しかし、現時点ではそのような活性は認められていない。キクには核局在性のCSVdとクロロプラスト局在性が疑われるCChMVdが感染する。これらのウイロイドが実際に推定されている局在性を持つか否かについては報告がない。もし、そのような局在性があるならば、それぞれのウイロイドにはトランジットRNAがあることが想像され、将来的なRNA工学への展開が期待できる。今回の調査ではCSVdの核局在性は明らかであったが、CChMVdの葉緑体局在性は疑わしく、少なくとも一部は核に局在していると考えられた。この点はさらに詳しく調査する必要がある。なお、いずれの結果も事実確認が極めて重要な現象であり、リリースはしばらく控えたいと考えている。
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