研究概要 |
成熟関連遺伝子の抽出(研究代表者、久保および研究協力者が担当) 成熟エチレン生成開始前と開始後の野生型果実からそれぞれRNAを抽出し,逆転写酵素を用いて33Pおよび蛍光色素でラベルしたプローブを作成した。トマトDNAアレイ(かずさDNA研究所より供給,約12,000のトマト遺伝子の同時発現解析が可能)を用いた網羅的遺伝子発現解析により、初期エチレン誘導因子の検索を行った。トマトDNAアレイを用いて遺伝子発現解析を行った。果実成熟に伴って3倍以上に発現レベルが増加する遺伝子が240個、逆に3分の1以下に減少する遺伝子が188個みつかり、合計428個の遺伝子を成熟関連遺伝子として同定した。さらに、エチレン作用阻害剤1-MCPに対する反応を調査したところ、成熟に伴って発現が増加する遺伝子内、211個(88%)がエチレンに依存していること、発現が低下する遺伝子の内でも36個の遺伝子がエチレンに直接的に支配されていることが明らかになった。また、成熟関連遺伝子の内約80%がrin,nor成熟不全変異体トマトではエチレン処理によっても発現レベルは大きく変化せず、これらの遺伝子はエチレンとRIN,NOR信号伝達系の両者によって制御されていることが明らかになった。研究分担者の矢野が構築しているトマトデータベース(Mibase)およびRIKEN Transcription Databaseを利用して、成熟関連遺伝子の機能分類を行ったところ、20個の転写制御遺伝子が含まれていることが明らかになった。今後、この抽出された転写制御因子と果実成熟の関係を、VIGS法および形質転換技術を用いて解析する予定である。
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