研究課題/領域番号 |
20380024
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
倉本 宣 明治大学, 農学部, 教授 (60287886)
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研究分担者 |
知花 武佳 東京大学, 工学部, 准教授 (10372400)
岡田 久子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究院 (40460000)
芦澤 和也 明治大学, 研究・知財戦略機構, ポスト・ドクター (10516660)
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キーワード | 出水 / 付着藻類 / ユキヤナギ / カワラノギク / ウラギク / 地質 / 萌芽 / テトラポット |
研究概要 |
上流域ではユキヤナギ、中流域ではカワラノギク、下流域ではウラギク、中流域の水域では付着藻類を対象にして研究している。 上流域のユキヤナギについて、昨年度に続き、SSRマーカーを用いた集団遺伝解析を実施した。由良川の集団は加古川(兵庫県)と遺伝的に近縁であり、高梁川の集団は、園瀬川(徳島県)と遺伝的に近縁であった。2011年度は、ユキヤナギの開花と萌芽の経年変化の調査について取りまとめを行った。その結果、古幹数が開花の有無の変化に影響を与えた可能性が示唆された。 ユキヤナギの分布と地質の関係を検討した。堆積層の厚さを見積もる方法と,地質と土砂の量の因果関係が不明であった。そこで,前者については,堆積層の厚さと砂州形状の関係,後者については,流域の地すべりマップと山間集落の立地からの定性的な把握手法を検討した。 中流域のカワラノギクは、本年度は中規模の出水があり、水側の個体群が流出した。かつてカワラノギクが生育していた安倍川では出水の規模が大きかったので、出水後の状況を調査し、次年度の河辺植生の回復とマイクロハビタットの関係の解析の準備を行った。 下流域のウラギクは、調査地が立ち入り禁止となって、調査が困難になった。 多摩川の付着藻類について、昨年度に続き、早瀬スケールで経時的な糸状緑藻の分布を調査した。早瀬の脇に位置するテトラポットに、糸状体の大部分が枯死している状態で糸状緑藻が付着しているのを1月に確認した。このテトラポットの糸状緑藻は3月以降のその早瀬での糸状緑藻の生育のシードバンクになる可能性が考えられた。また、出水後のマイクロハビタットの時間的な変化を知るため、石に付着している藻類を人工的にかく乱させて出水の規模に対応させる操作実験をおこなった。出水の規模が大きいほど、回復に時間がかかるが、最大付着量は同程度となることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出水による植生に対する影響とその再生について、マイクロハビタットとの関係から検討することについては、上流域のユキヤナギ、中流域のカワラノギク、中流域の水域の付着藻類については、順調にデータが取れてきている。ただし、下流域のウラギクについては、調査地が立ち入り禁止になったため、調査が行えなくなって居るので、地元の調査者の協力を得てデータを収集した。
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今後の研究の推進方策 |
出水による植生に対する影響を2011年の小規模な出水で再検討することができた。マイクロハビタットと植生の再生の関係を引き続き検討する。最終年度なので、代表者のリーダーシップのもとで、分担者相互の連絡をよくし、積極的に投稿を重ねていきたい。なお、下流域のウラギクについては、地元の研究者からの情報のほかに何度か同行してオリジナルなデータも得る予定である。
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