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2011 年度 実績報告書

炭疽病菌への非宿主抵抗性に必要な植物因子の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20380027
研究機関京都大学

研究代表者

高野 義孝  京都大学, 農学研究科, 准教授 (80293918)

キーワード非宿主抵抗性 / シロイヌナズナ / 炭疽病菌 / 抵菌物質 / MACPF / EDR1 / グルタチオン / PEN2
研究概要

研究代表者は、不適応型炭疽病菌(ウリ類炭疽病菌)によって、明確な壊死斑が形成されるシロイヌナズナlic1変異体、およびその原因遺伝子LIC1(NSL1)の同定に成功している。昨年度までの研究により、lic1変異依存的な細胞死誘導には、PEN2が関与するグルコシノレート系抗菌物質の合成が必要であることを明らかにしている。PEN3がコードするABCトランスポーターは、flg22処理時のカロース合成に必要であることが報告されており、PEN3がPEN2関連抗菌物質を排出することにより、カロース合成が誘導されることが示唆されている。今回、flg22処理時のカロース合成を1fo1変異体で調べた結果、pen3変異体とは異なり、そのカロース合成は誘導され、LIC1はflg22処理時におけるPEN2関連抗菌物質の排出には必須ではないことが示唆された。また、lic1 pad3変異体の解析より、lic1表現型へのカマレキシンの関与の度合いは低いことが明らかになった。さらに、乙π1ホモログ遺伝子の変異をlic1変異体に導入した多重変異体を作出・解析した結果、LIC1ホモログ遺伝子がLIC1と協調する形で細胞死制御に関与することが示唆された。また、これまでに石侃1遺伝子の変異は、lic表現型を引き起こすことを明らかにしているが、本年度は、グルタチオン生合成酵素であるGSH1の変異体がlic表現型を示すことを発見した。GSH1に変異を有するpad2変異体では、不適応型炭疽病菌であるクワ炭疽病菌の侵入率の上昇が見出され、さらに変異体では接種時におけるグルタチオン含量が顕著に低下していた.この結果より、侵入阻止型抵抗性へのグルタチオン合成の関与が示唆された。興味深いことに,pad2変異体においては侵入菌糸が接種部位を越えて伸長していた。さらに、トリパンブルー染色より、edr1変異体の接種部位において見られる細胞死が、pad2変異体では顕著に弱まっていることが明らかとなった。この結果より、GSH1依存的なグルタチオン合成が、侵入阻止型の非宿主抵抗性に加えて侵入後抵抗性に必要であることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Arabidopsis ENHANCED DISEASE RESISTNANCE 1 is required for pathogen-induced expression of plant defensins in nonhost resistance, and acts through interference of MYC2-mediated repressor function2011

    • 著者名/発表者名
      Hiruma, K., Nishiuchi, T., Kato, T., Bednarek, P., Okuno, T., Schulze-Lefert, P., and Takano, Y.
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 67 ページ: 980-992

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1365-313X.2011.04651.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Roles of EDR1 in non-host resistance2011

    • 著者名/発表者名
      Hiruma, K., and Takano, Y.
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 6 ページ: 1831-1833

    • DOI

      DOI:10.4161/psb.6.11.17494

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 植物病原性カビの新たな侵入戦略2011

    • 著者名/発表者名
      晝間敬、吉野香絵、高野義孝
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 49 ページ: 588-599

    • DOI

      DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.49.588

  • [学会発表] 非宿主抵抗反応における細胞死制御に関与するシロイヌナズナのLIC1/NSL1の研究2012

    • 著者名/発表者名
      福永聡、十亀美穂、小野澤(小森)真理子、奥野哲郎、高野義孝
    • 学会等名
      日本植物病理学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] グルタチオン生合成酵素GSH1は、クワ炭疽病菌に対する非宿主抵抗性に必要である2011

    • 著者名/発表者名
      晝間敬、奥野哲郎、高野義孝
    • 学会等名
      日本植物病理学会関西部会
    • 発表場所
      サンポートホール高松(香川)
    • 年月日
      2011-10-01
  • [学会発表] シロイヌナズナの非宿主抵抗反応における抗菌タンパク質の分泌制御に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      渡邊智史、奥野哲郎、高野義孝
    • 学会等名
      日本植物病理学会関西部会
    • 発表場所
      サンポートホール高松(香川)
    • 年月日
      2011-10-01

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公開日: 2013-06-26  

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