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2008 年度 実績報告書

エポキシ性フェロモンの生合成とその制御に関する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20380031
研究機関東京農工大学

研究代表者

安藤 哲  東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (50151204)

キーワード応用昆虫 / 生物制御化学 / 生理活性物質 / 生合成 / 蛾類性フェロモン / ポリエン炭化水素 / リノレン酸 / エポキシ化酵素
研究概要

性フェロモンを害虫防除に直接利用することに加え、その生産を撹乱することで昆虫の雌雄間の交信を制御し、次世代の増殖を抑制することが考えられる。そのためには、生合成過程の詳細なメカニズムを解明する必要があり、これまでカイコなどを材料に研究が展開されてきた。一方、シャクガやヒトリガなど進化したガ類昆虫では、末端の官能基を含まない構造上の特色を有する化合物(不飽和炭化水素およびそのエポキシ誘導体)が性フェロモンとして利用されており、その生産様式もかなり異なることがわかってきた。本研究ではそれらの性フェロモンに注目し、生合成経路とそれに関わる酵素、特にエポキシ化酵素の実体を明らかにすることを目的としている。
1)生合成中間体の同定:特徴的な二重結合位置から、餌由来のリノレン酸(C_<18>)などを出発原料として、炭素鎖の伸張と脱炭酸によって合成されることが想定されている。たとえば、シャクガのフェロモン成分(C_<19>トリエンとそのエポキシ体)は、リノレン酸から導かれるC_<20>脂肪酸の脱炭酸によって生成することが考えられた。そこで、不飽和炭化水素の生産器官であることが予想されるエノサイトを含む組織での分析を行った。種々のクロマトを駆使した結果、シャクガよりC_<20>トリエン脂肪酸を、さらにC_<21>のフェロモン成分を生産するカノコガからC_<22>トリエン脂肪酸を見出すことに成功した。これらは、新規な天然脂肪酸である。
2)エポキシ化酵素の同定:特異な構造を有するシャクガの腹部8〜9節の詳細な観察とエポキシ化活性の検討から、フェロモン腺は節間膜の限られた部分に位置することが明らかになった。この知見をもとに、フェロモン腺と他組織とでの発現遺伝子の差を指標にエポキシ化酵素の絞り込みを行うことを計画した。それぞれの組織からmRNAを抽出し、SMART kitを用いて増幅を行い、現在ライブラリーを構築中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of novel C_20 and C_22 trienoic acids from arctiid andgeometrid female moths that produce polyenyl Type II sex pheromonecomponents.2008

    • 著者名/発表者名
      K. Matsuoka, M. Yamamoto, R. Yamakawa, M. Muramatsu, H. Naka, Y. Kondo, T. Ando
    • 雑誌名

      J. Chem. Ecol. 34

      ページ: 1437-1445

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and chemical characterization of hydrocarbons with a6, 9, 11-, 3, 6, 9, 11-, or 1, 3, 6, 9-polyene system. pheromone candidates inLepidoptera.2008

    • 著者名/発表者名
      M. Yamamoto, R. Yamakawa, T. Oga, Y. Takei, M. Kinjo, T. Ando
    • 雑誌名

      J. Chem. Ecol. 34

      ページ: 1057-1064

    • 査読あり
  • [学会発表] アオシヤク類が分泌する新規性フェロモンの同定2009

    • 著者名/発表者名
      山川 玲, Nguyen Due Do, 金城政勝, 安藤 哲
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      福岡県福岡市マリンメサセ福岡
    • 年月日
      2009-03-28

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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