より進化したシャクガ科やヒトリガ科などの昆虫は、C_<17>~C_<23>の直鎖不飽和炭化水素とそのエポキシ誘導体(タイプIIフェロモン)を分泌する。それらの体内での生産様式を確証すべく、ヨモギエダシャクを用いて、エポキシ化酵素ならびにPBANの受容体タンパク質に対応する候補遺伝子をフェロモン腺よりクローニングした。加えて、アメリカシロヒトリを実験材料に、4成分からなるフェロモンの生合成経路を実証するとともに、最終段階で働いている酸化酵素の基質特異性を明らかにした。一方、これまでフェロモンの同定例がないアオシャク類からは、12-位に二重結合を含む新規なタイプIIフェロモン成分の同定に成功し、生殖隔離に重要な役割を担う分子種の多様性を示す結果が得られた。
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