研究計画に従い、下記の5点について検討した。 1.他の寄生蜂に対する兵隊幼虫の攻撃行動における性的差異 培養条件下で調べた結果、雌に比べて雄の攻撃力は低いものの、両性に闘争能力のあることが明ちかとなり、米国系統とは、雄の兵隊カーストの役割、進化的背景が異なることが示された。 2.性的差異と宿主の細胞性免疫機構の関係解明 多胚性寄生蜂の性により、宿主の血球数と血球比に違いが認められ、宿主の生体防御機構に及ぼす影響が、性によって異なることが示された。 3.他の寄生蜂に対する液性攻撃因子の解析 液性攻撃因子について、雌雄の遺伝子発現解析比較および液性因子のHPLC分析等により解析中。 4.宿主体内に雌雄の多胚が存在するときに起こる兵隊カースト比の解明 2卵の血縁度によって結果がことなることが米国系統の多胚性寄生蜂ですでに知られているため、分子マーカーとして使うマイクロサテライトDNAを開発した。 5.カースト構成の遺伝学的背景の解析 量的遺伝学的解析の結果、雄のカーストは遺伝学的に決定されているのに対し、雌のカーストは遺伝学的に決定されるほか、環境要因の影響を強く受けていることが明らかとなった。
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