研究課題
本研究ではこれまでのシロアリセルラーゼ研究で蓄えたノウハウを最大限生かしながら、原生動物を共生しないいわゆる高等シロアリ類を中心に、(1)後腸内共生バクテリアのセルラーゼの精製および遺伝子の特定、(2)共生バクテリアがセルロソーム類似物によってセルロース分解を行うこと、(3)セルロソーム類似物構造の特定、そして(4)その性能の評価および更なる改変の可能性について研究を行い、本研究に基づいた効率的なリグノセルロース消化系モデルの提示を目指している。本年度の研究ではシロアリ共生細菌からのセルラーゼ抽出に関して、これまでに報告のあるセルロソーム抽出法も検討した。しかし、これまでの実験の結果、従来の方法ではセルラーゼ活性の溶出が認められなかったので、当研究室で新たに確立された後腸微生物セルラーゼの溶出方法(Tokuda & Watanabe,2007)を用いてシロアリホモジネートから粗酵素液を調整した。この粗酵素液に対してSuperdex-200カラムを用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行ったところ、約500kDaと50kDa付近にセルロース分解活性が認められた。小さい分子量のピークは内源性セルラーゼである可能性が考えられたので、これを効率的に除去するための抗体作製を行い、ウェスタンブロットにより抗体の特異性について確認した。また、粗精製物の電気泳動を行い、一部のバンドについてはアミノ酸配列の解析を試みた。しかしながら、全体としてはまだクロマトグラフィーに用いるタンパク量が十分ではなく、次年度以降はさらに後腸セルラーゼ活性の抽出条件とクロマトグラフィー条件について検討しながら解析を進めていく必要があると考えられた。
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Recent Patents on Biotechnology 3
ページ: 10-18
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 73
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http://www/cc.u-ryukyu.ac.jp/~comb/