研究課題
セルロース分解に関する分野は、公害の少ない安価なバイオエタノールの生産に向けて非常に注目されている。しかし、現状においてバイオエタノールがガソリンとの価格競争に耐えるためには、現在よりもさらに効率の良いリグノセルロース分解系の構築が急務である。本研究ではこれまでのシロアリセルラーゼ研究で蓄えたノウハウを最大限生かしながら、原生動物を共生しないいわゆる高等シロアリ類を中心に後腸内共生バクテリアのセルロース分解システムの解析を行っている。本年度は分子生命科学研究施設において導入された次世代シーケンサー(454GSjunior)を用い、シロアリ後腸から抽出したバクテリア由来DNAを用いてメタゲノム解析により、後腸内に存在するリグノセルロース分解酵素について包括的に解析を進めた。通常メタゲノム解析では不要な遺伝子も多く読めることから、いかに不必要な情報を除去するかということも肝要である。我々のこれまでの電子顕微鏡による観察では、後腸前半部においてバクテリアと木片との相互作用を伺わせる像が頻繁に観察されている。そこで後腸前半部にターゲットを絞り、消化管内容物だけを溶液中に回収しDNAを抽出した。このようにして得られたサンプルについて次世代シーケンサーで解析したところ、4870個のコンティグ配列が得られた。これらをデーターベース検索にかけたところ、このうち300個のコンティグが何らかの糖の分解や代謝に関わる物質の遺伝子を含んでおり、この中には各種セルラーゼやキシラナーゼなどのヘミセルラーゼ、その他のセルロース加リン酸分解酵素、またセルロース結合タンパク質などが含まれることが明らかとなった。
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http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~tokuda/