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2011 年度 実績報告書

シロアリ共生細菌によるセルロース分解機構

研究課題

研究課題/領域番号 20380037
研究機関琉球大学

研究代表者

徳田 岳  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (90322750)

キーワード応用動物 / 昆虫 / 酵素 / セルラーゼ / 共生細菌
研究概要

本研究では高等シロアリの後腸共生細菌がセルロース消化に果たす仕組みについて解析を進めており、昨年度までに多様なセルラーゼが細菌ゲノムに存在することを明らかにしてきた。そこで、最終年度は前年度に引き続き細菌類によるセルロース消化がもっとも活発であると考えられる後腸前半部のメタゲノム解析を推し進め、合計約82Mbの配列情報を得た。得られた配列総リード数のうち、約1.3%(2474リード)が糖質加水分解酵素をコードしていると考えられ、386個のコンティグ配列として得られた。また、得られた配列総リード数のうち、約0.9%は糖質結合ドメインをコードしている配列を含むと考えられた。
糖質加水分解酵素をコードする配列は合計55の糖質加水分解酵素ファミリーに分類され、このうち42%はリゾチームやキチナーゼなどのリグのセルロース分解に関係しない配列であった。リグノセルロース分解に関係する配列のうち、約1/3がセルロース分解に関係するものであり、残りの2/3は主にヘミセルロース分解に関連する遺伝子をコードした配列であった。セルロース分解に関与すると考えられる配列の中にはセロビオハイドロラーゼは含まれず、エンドグルカナーゼ、β-グルコシダーゼおよび、セロビオースフォスフォリラーゼから構成されていると考えられた。
糖質結合ドメインををコードする配列は合計29の糖質結合モジュールファミリーに分類され、このうち約35%はキチンやでんぷん、ペプチドグリカン結合モジュールなどのリグのセルロースとの結合に関係しない配列をコードしていた。リグノセルロース分解に関係する配列のうち、やはり約1/3がセルロース分解に関係するものであり、残りの2/3は主にヘミセルロース分解に関連する遺伝子とをコードした配列と多様な基質結合性が報告されている結合モジュール(CBM37)をコードする配列であった。
個々の遺伝子の詳細については現在解析中であるが、以上の結果から後腸細菌がリグノセルロース分解に果たす役割は、セルロース消化よりもむしろヘミセルロース消化にある可能性が強く示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cellulolytic environment in the midgut of the wood-feeding higher termite Nasutitermes takasagoensis2012

    • 著者名/発表者名
      Tokuda, G., Watanabe, H., Hojo, M., Fujita, A., Makiya, H., Miyagi, M., Arakawa, G., Arioka, M
    • 雑誌名

      Journal of Insect Physiology

      巻: 58 ページ: 147-154

    • DOI

      DOI:10.1016/j.jinsphys.2011.10.012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genome shrinkage and loss of nutrient-providing potential in the obligate symbiont of the primitive termite Mastotermes darwiniensis2012

    • 著者名/発表者名
      Sabree, Z.L.
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 78 ページ: 204-210

    • DOI

      10.1128/AEM.06540-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cellulose digestion by termites and their symbionts2012

    • 著者名/発表者名
      Tokuda, G.
    • 雑誌名

      Proceedings of the 9th Pacific-Rim Termite Research Group Conference

      ページ: 10-15

  • [学会発表] Cellulose digestion by termites and their symbionts2012

    • 著者名/発表者名
      Tokuda, G.
    • 学会等名
      The 9th Pacific-Rim Termite Research Group Conference
    • 発表場所
      Melia Hotel, Hanoi, Vietnam(招待講演)
    • 年月日
      2012-02-27
  • [学会発表] Lignocellulolytic systems in higher termites2011

    • 著者名/発表者名
      Tokuda, G.
    • 学会等名
      International Symposium on Digestive systems in Termites
    • 発表場所
      琉球大学50周年記念館
    • 年月日
      2011-10-06
  • [学会発表] タカサゴシロアリ後腸メタゲノム解析による細菌由来リグノセルロース分解酵素の多様性2011

    • 著者名/発表者名
      徳田岳
    • 学会等名
      (社)日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      旭川市神楽地区公共施設
    • 年月日
      2011-09-21
  • [備考]

    • URL

      http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~tokuda/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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