研究課題/領域番号 |
20380038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沼田 英治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70172749)
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研究分担者 |
志賀 向子 大阪市立大学, 理学研究科, 教授 (90254383)
後藤 慎介 大阪市立大学, 理学研究科, 准教授 (70347483)
品田 哲郎 大阪市立大学, 理学研究科, 教授 (30271513)
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キーワード | 昆虫 / 生理学 / 生体分子 / 脳・神経 / 遺伝子 / RNA干渉法 / 幼若ホルモン |
研究概要 |
(1)ホソヘリカメムシにおいて、概日時計遺伝子Period、cycle哺乳類型cryptochromeの発現抑制が光周性を喪失させることを前年度までに示していたが、今年度はさらに別の概日時計遺伝子ClockのRNAiによる発現抑制によっても光周性が失われることを示し、一連の概日時計遺伝子の光周性における重要性が明らかになった。 (2)キイロショウジョウバエなど他の昆虫ではペプチドPDFを発現する細胞が概日時計の本体と考えられている。ホソヘリカメムシにおいて、PDF免疫陽性細胞が存在する視髄の部分を微細手術により除去したところ光周性が失われたので、本種の光周性にはPDF免疫陽性細胞あるいはその細胞が存在する領域が重要であると考えられた。 (3)チャバネアオカメムシにおいて、前年度の実験によって示唆されていた「バックフィルにより同定されたアラタ体へ投射する脳間部、脳側方部ニューロンの細胞体を含む脳領域が幼若ホルモン(JH)合成を抑制すること」を明確に証明した。さらに、長日条件の脳と短日条件のアラタ体を共培養して、脳のJH合成活性に対する促進効果について検討した結果、長日の脳にはJH合成の促進効果は見られなかった。このことから、上記の領域存在するニューロンが短日条件下でm合成を抑制していると考えられた。 (4)前年度までにLC/MSによるJHSB3の分析法を確立した。今年度は予定していたホソヘリカメムシでの分析に至らなかったが、他のカメムシ類のアラタ体培養生産物の解析を容易に実施できることが確かめられた。 以上により、カメムシ類の光周性に関与する概日時計機構および光周性の出力である休眠の神経・内分泌機構の解明に大きな進展が見られた。
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