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2008 年度 実績報告書

昆虫由来生理活性物質を利用した新規抗ガン剤開発のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 20380039
研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

山川 稔  独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 特任上級研究員 (30183677)

キーワード昆虫 / 抗ガン剤 / 抗微生物ペプチド / 改変 / マウス骨髄腫 / 作用標的
研究概要

本研究は、従来の抗ガン剤とは全く作用機構の異なる新規抗ガン剤開発のための基礎的知見を得ることを目的とする。その目的を達成するため昆虫由来抗微生物タンパク質改変ペプチドの抗ガン作用の解明及び昆虫由来の抗ガン物質の探索を通じ、新規抗ガン剤開発のためのシーズを得ることを具体的目標とした。
平成20年度は改変ペプチドのガン細胞増殖抑制と形態変化に与える影響の解析をまず行った。6種類の培養ガン細胞(ヒト子宮頚ガン、ヒト肺ガン、ヒト扁平上皮ガン、マウス骨髄腫、マウス神経膠腫、アフリカミドリザル腎臓ガン)をA,B,C,Dの4種類のD型改変ペプチドを用いスクリーニングした結果、ペプチドBがマウス骨髄腫に対し強い抗ガン活性を示すことが明らかとなった。ペプチド濃度が高くなるにつれ細胞内から酵素の漏出が増えガン細胞の生存率が低下することからその抗ガン作用はペプチドによる細胞膜の破壊に起因することが示唆された。また電子顕微鏡による形態学的観察により明らかな細胞膜の破壊が観察された。
次に、改変ペプチドBがマウス骨髄腫の細胞膜に直接作用しているかどうかを調べるため膜電位感受性の蛍光色素であるDioC_2を用い細胞を標識し、改変ペプチドによるガン細胞の脱分極の可能性について調べた。その結果、ペプチドBはマウス骨髄腫細胞膜の脱分極を引き起こすことが明らかとなりその作用標的が細胞膜であることが実証された。
一方、改変ペプチドは骨髄腫には強い抗ガン活性を示すのに、なぜ他のガン細胞には効果がないのかについて調べてみた。その結果、ガン細胞表面に存在するマイナス電荷をもつホスファチジルセリンの量に抗ガン活性が依存していることが判明し、プラスに帯電した塩基性アミノ酸に富む改変ペプチドのホスファチジルセリンとの静電的引き合いがペプチドの細胞表面への吸着に重要であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Selective cancer cell cytotoxicity of enantiomeric 9-mer peptides derived from beetle defensins depends on negatively charged phosphatidylserine on the cell surface2009

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki, T., Ishibashi, J, Tanaka, H., Sato, M., Asaoka, A., Taylor, D. Yamakawa, M.
    • 雑誌名

      Peptides 30

      ページ: 660-668

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antibacterial and anticancer activity of diasteromeric 9-mer peptides derived from beetle defensins2008

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki, T., Ishibashi, J., Saido-Sakanaka, H., Tanaka, H., Sato, M., Asaoka, A., Taylor, D., Yamakawa, M.
    • 雑誌名

      Peptide Science 2007

      ページ: 79-82

    • 査読あり
  • [学会発表] Multi-target of enanteromeric 9-mer peptides derived from beetle defensins2009

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki, T., Yamakawa, M. et al.
    • 学会等名
      2009 Keystone Symposia
    • 発表場所
      カナダ、ウイスラー
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] カブトムシディフェンシン由来改変ペプチドの多機能解析2009

    • 著者名/発表者名
      岩崎 崇、山川 稔他
    • 学会等名
      平成21年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-03-21
  • [学会発表] Multi-target of enanteromeric 9-mer peptides derived from beetle defensins2008

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki, T., Yamakawa, M. et al.
    • 学会等名
      日本ペプチド学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-10-29
  • [学会発表] カブトムシディフェンシン由来改変ペプチドのマルチターゲット2008

    • 著者名/発表者名
      岩崎 崇、山川 稔他
    • 学会等名
      第41回若手ペプチド夏の勉強会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2008-08-04

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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