研究概要 |
平成21年度に作製したCsmA-HAとCsmB-FLAGを同時に発現する株を用いて抗HA抗体を利用したpull-down assayを行ったがCsmAとCsmBが相互作用していることを示唆する結果は得られなかった。さらにCsmA、CsmBの膜貫通領域を除いた部分を用いたtwo-hybrid assayにおいてもCsmA、CsmBそれぞれの分子内、CsmA、CsmBの分子間での相互作用を示唆する結果は得られなかった。これらのことからCsmAとCsmBがそれぞれホモ多量体化、またはヘテロ複合体を作って機能している可能性は低いと考えられた。そこでCsmAのミオシン様ドメイン部分、ミオシン様ドメインとキチン合成酵素ドメインの間の領域をbaitとしてA,nidulansのcDNAライブラリーをpreyとしてtwo hybridスクリーニングを行った。その結果得られた数種の候補クローンについて現在、その機能解析を行っている。 一方、Saccharomyces cerevisiaeにおいてのクラスIVキチン合成酵素であるChs3と相互作用することが知られるタンパク質をコードするSKT5/CHS4のオルソログであり平成21年度に一部機能解析を行った遺伝子の一つについてその破壊株におけるCsmAの局在を検討したところ部分的に異常が見られた。このことからCsmAの局在にSKT5のオルソログが関与することが示唆された。現在CsmAとこの遺伝子産物のタンパク間相互作用の有無について検討中である。また、ミオシンモーター融合型キチン合成酵素のC末端に例外なく保存されている機能不明のDEK C末端ドメインの役割を明らかにするためその部分だけを除いたCsmA、CsmBを野生型CsmA、CsmBの代わりに発現する株を作製し解析した。その結果、CsmAの機能にはDEKC末端ドメインが重要な役割を持つがCsmBの機能にはそれほど大きな役割を持たないことが示唆された。
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