研究概要 |
Lactobacillus plantarum AKU1009aにおける不飽和脂肪酸飽和化代謝系を解明した。本経路には4種類の酵素(CLA-HY, CLA-DH, CLA-DC, CLA-ER)が関与していた。すなわち、CLA-HYにより触媒される不飽和脂肪酸の水酸化脂肪酸への水和、CLA-DHにより触媒される水酸化脂肪酸の酸化と、引き続きCLA-DCにより触媒される二重結合の転移によるエノンの生成、さらには、CLA-ERにより触媒されるエノンの還元を経て、それまでの反応を折り返すように進行するCLA-DHの逆反応である還元、CLA-HYの逆反応である脱水反応により飽和化を完結する一連のルートを経ることが解明された。また、この不飽和脂肪酸飽和化系路に関与する4つの酵素CLA-HY、CLA-DH、CLA-DCならびにCLA-ERについて、有用物質生産への応用を検討した。その結果、CLA-HYに関して、ポリマー原料、潤滑剤、界面活性剤等に利用される水酸化脂肪酸の生産に有用であることを見いだした。 Eubacterium属細菌が、脂肪酸を脂肪族アルコール類へと変換することを見いだし、その詳細を解析した。パルミチン酸を添加したGAM培地を用いて、Eubacterium属細菌を培養し、培養液上清をガスクロマトグラフィーにて分析したところ1-ヘキサデカノールの生成を確認した。よってEubacterium属細菌は、脂肪酸を対応するアルコールへと還元することが明らかとなった。また、本還元反応の基質特異性を検討した結果、炭素数3から24の飽和脂肪酸、炭素数10から16のジカルボン酸、芳香族カルボン酸などをそれぞれ対応するアルコールへと変換することが判明した。
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