研究課題/領域番号 |
20380052
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 憲二 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
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研究分担者 |
芦田 久 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (40379087)
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キーワード | エンドグリコシダーゼ / 糖転移活性 / 変異酵素 / 糖鎖医薬品 / インフルエンザウイルス / 感染阻害剤 / シアロ糖鎖 |
研究概要 |
本研究は微生物のエンドグリコシダーゼの糖転移活性を活用することによって糖鎖をミミックした糖鎖複合体を合成し、感染症の抑制効果を持つ糖鎖医薬品を開発して、その調製法を確立することを目的としている。我々はこれまでに糸状菌Mucor hiemalisのエンドグリコシダーゼ(エンドーβ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、エンドーM)の特異な糖転移活性を利用することにより、生理活性糖ペプチドなどのさまざまな機能性糖鎖複合体を合成して、難溶性の改善、血中半減期の延長、熱安定性の増加など、期待される機能の付加を行ってきた。しかし、エンドグリコシダーゼは本来、加水分解酵素であるために糖転移反応によってひとたび生成した生成物も直ちに分解されてしまうと言う問題がある。そこで、上記のエンド-Mの糖転移活性を改善するために、活性中心付近のアミノ酸残基に部位特異的変異を導入したところ、加水分解活性が減少する一方、糖転移活性が高められた変異体酵素Y217Fを取得した。そこで、本変異体酵素を用いてヒトインフルエンザウイルス感染阻害剤の効率的な合成を行った。すなわち、ニワトリ卵黄から得たシアロ糖ペプチドを糖鎖供与体とし、p-ニトロフェニールーN-アセチルグルコサミニドをその受容体として、変異体酵素Y217Fを作用させて糖転移反応を行い、得られたシアロ糖鎖複合体を還元アミノ化反応によってキトサンへ多価結合して、シアロ糖鎖ポリマーを得た。この感染阻害剤を用いて、イヌ脾臓細胞(MDCK細胞)へのウイルスの感染の阻害を調べたところ、ヒトインフルエンザA型およびB型ウイルスについて、非常に有効であることがわかった。次いで、最適な阻害剤の作成を検討したところ、バックボーンのキトサンの重合度が500でシアロ糖鎖の付加率が15%の糖鎖複合体が最も効率的な感染阻害剤であることが明らかになった。これは分子モデリングによるヘマグルチニンとの構造的相関性によっても証明された。
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