研究課題
枯草菌の網羅的タンパク質問相互作用解析から見出した2つの相互作用を手がかりに、細胞機能のネットワークを明らかにすることが目的である。第1は細胞質膜成分であるリン脂質の合成酵素と細胞分裂関連因子との相互作用であり、リン脂質、脂肪酸両方の合成に関わる膜脂質合成系の初期酵素PlsXの局在性観察、ならびに温度感受性変異株のサプレッサー変異の同定を終了した。予測した通り、細胞分裂装置と密接な関係にあることを証明し、ヒエラルキーにおいてもPlsXの機能が、FtsZを分裂局面に整列させるために必要であることを明らかにした。PlsXはFtsAとの相互作用が観察されており、FtsAはFtsZのZ-ring形成に重要な働きを担っていると考えられているため、この働きにPlsXも関与していることが窺える。一方、クエン酸回路の役者の1つOdhB(2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体の成分)と、細胞分裂装置および胞子形成開始因子との相互作用については、必須遺伝子として同定されていたodhBが、培養条件によっては欠失できること、すなわちL培地においてのみ必須であることが判明した。また変異株および欠損株は温度感受性、胞子形成欠損といった表現型を示し、これらの機能がOdhBのドメインによって規定されていることを確認した。また、胞子形成に関しては開始のマスターレギュレーターであるSpoOAの活性化に関わっていることを明らかにした。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (23件)
J.Antibiotics 63
ページ: 127-134
J.Gen.Appl.Microbiol. 56
ページ: 187-192
Nucleic Acids Res. 37
ページ: e3(1-7)
