研究課題/領域番号 |
20380058
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西森 克彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10164609)
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研究分担者 |
木村 正 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90240845)
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キーワード | オキシトシン受容体 / オキシトシン / 母性行動 / セロトニン / 視索上核 / 視索前野 / Venus |
研究概要 |
OXT・OXTR(オキシトシン・オキシトシン受容体)系と社会行動との関連を細胞・分子レベルで明らかにする上で、OXTRが発現するニューロンを特定するためOXTR発現ニューロンで蛍光タンパク質であるVenusを発現するOXTR-Venus Knock-inマウス(OxtrVenus/+)を作製した。この理由は、これまでOXTRを認識できる良好な抗体が作製されていないことも大きな理由である。このマウスの脳で、Venusの発現部位がOXTRの発現部位と一致していることを示す必要があり、このことを示すために、脳の連続切片を作製、Oxtr mRNAの発現をin situ hybridizationにより、Venusの発現を免疫組織学的染色により特定し、その局在について連続切片とin situ hybridizationにより、Oxtr mRNAとvenusが同じ局在を示し、こvenusの発現とOXTRの発現が一致していることを確認した。未経産マウス(virgin(diestrus・estrus))・分娩中マウス(On parturition)・分娩終了後12時間以内のマウス(Postpartum)のそれぞれの脳をサンプリングし、免疫組織学的染色によりOXTRニューロンの発現変化を経時的に追うと共に、神経活動の活性マーカーであるc-fosの発現を観察した。この結果、母性行動の発現に伴い脳内の視索前野(MPOA)・偏桃体(MeA)・視索上核(SON)において有意なVenus発現細胞の増加を確認した。MPOAに関しては母性行動の中枢であることから予測できた結果であったが、SONに関してはVirginマウスでVenus陽性細胞はほとんど認められないものの、母性行動の発現に伴い、その発現が誘導されるという興味深い結果が得られた。 SONで誘導がかかる原因は現在解析中だが、SONでのOXT産生増加に伴うautocrineの可能性を一つ考えており、視索上核を含む脳スライスを器官培養し、OXTを加えることでVenusの発現が誘導されるかにつき、引き続き解析を続行する予定である。最近母性行動がセロトニンニュロンに大きく依存していることを示すことが報告された。我々は、セロトニンニューロンが局在する縫線核のTPHII酵素とVenusが今日局3することを見出し、オキシトシン受容体による母性行動制御のメカニズムが縫線核のセロトニンニュローンと深く関わっている可能性について今後研究を広げていく予定である。また、SONでの誘導にセロトニンが関わっている可能性も考え、この点に関してもin vivoでの解析を行っていく予定である。
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