5つのEF-handをもつカルシウム結合タンパク質ALG-2はアポトーシス関連因子として同定されたが、その生理作用における分子機構は不明である。我々はALG-2とカルシウム依存的に結合する因子としてAlixおよびTSG101に着目し、両者がカルシウム依存的に結合することを既に明らかにしていた。本研究では、ALG-2がアダプターとして作用するとの仮説を立て、これを分子レベルで明らかにすることを目的として研究を進めた。ALG-2とAlixの結合部位ペプチドとの複合体のX線結晶構造解析により、1)ALG-2は2量体で相互作用因子と結合すること、2)2量体のそれぞれのALG-2分子がAlixと結合し、結合部位が2箇所存在することを明らかにした。すなわち、2量体は2分子の相互作用因子と結合できることが判明した。さらに、カルシウムと結合していない状態の構造と、カルシウムと結合した状態のALG-2の立体構造も解明した。標的ペプチドと結合部位を形成する疎水ポケットがカルシウム依存的に露出することを明らかにした。一方、RNA干渉法によりALG-2発現を抑えた動物細胞において、AlixとTSG101の試験管内でのカルシウム依存的相互作用が消失すること、組換体ALG-2を補充したり、RNA干渉耐性ALG-2発現プラスミドをトランスフェクションすることにより、相互作用が相補されることも判明した。しかし、2量体を形成しない変異体を発現させても相補されなかった。以上のことより、2量体のALG-2がカルシウム依存的アダプターとして機能していることが強く示唆された。
|