研究概要 |
1.腸管樹状細胞の解析 パイエル板樹状細胞のCpGオリゴDNA刺激に対する遺伝子発現を調べたところ、IL-6、レチノイン酸合成酵素RALDHA2、IL-10の発現が誘導される一方で、TGF-β,BAFF,APRILの発現誘導は認められなかった。特定の微生物刺激により、特定の因子が、樹状細胞によるIgA誘導をはじめとした免疫応答に関与することが示唆された。 2.腸管CD3^-IL-2R^+細胞の解析 パイエル板CD3^-IL-2R^+細胞のうち、IL-5を産生するのは、NKp46^-細胞であり、この細胞は、ROR-γtを発現しないことが示された。これより、CD3^-IL-2R^+細胞は腸管の器官形成に関わるLTi細胞、腸管NK細胞のいずれとも異なると考えられた。 3.ウイルス感染モデルの作成 インフルエンザウイルスに対するIgA陽性B細胞のモニターを容易にするため、抗体遺伝子重鎖・軽鎖を導入したマウスを作製した。このマウスでは、B細胞の約9割がインフルエンザウイルスに反応することを確認した。 4.経口免疫寛容における制御性低応答化T細胞の解析 これまで、卵白アルブミン(OVA)に特異的なT細胞抗原レセプター(TCR)を発現するトランスジェニックマウスにOVAを経口投与することにより、CD62L^<high/int>CD44^<int>T細胞とCD62L^<low>CD44^<high>T細胞群の2種類の免疫抑制能を有するT細胞群が誘導されることを明らかしている。両細胞の機能解析を進めた結果、CD62L^<high/int>CD44^<int>T細胞はTh2細胞の応答を抑制し、CD62L^<low>CD44^<high>T細胞は、腸管指向性のケモカインレセプターの発現が高かった。また、経口免疫寛容マウスにおいて、T細胞との抗原を介した相互作用により、腸管のCD11b^+樹状細胞が増加することが示された。
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