研究概要 |
本研究では腸管免疫制御細胞の免疫制御機構の解明を通じ、これらを新たな作用点とし、新規免疫機能食品の開発につながる基盤研究を行うことを目的とし、本年度は以下のような成果を得た。 1.腸管樹状細胞の解析・CD3^-IL-2R^+細胞の解析 (1)微生物由来物質による樹状細胞の免疫関連遺伝子の発現誘導 種々のTLRリガンド刺激によるパイエル板樹状細胞(PPDC)におけるIgA産生やT細胞分化誘導に関連する免疫調節因子のmRNA発現誘導について検討した。その結果、PP DCはCpGオリゴDNA,Pam3CSK4に対して選択的に強い応答性を示した。さらに、PP DCにおいてIL-6, Aldh1a2(レチノイン酸変換酵素)、Ebi3(IL-27サブユニット)発現はCpG,Pam3CSK4のどちらの刺激によっても誘導されたが、p40(IL-12/23サブユニット),p28(IL-27サブユニット)発現はCpG刺激のみ、IL-10,p35(IL-12サブユニット),p19(IL-23サブユニット)発現はPam3CSK4刺激のみによって誘導されるといったように、PP DCはTLRリガンド特異的な応答性を示した。 (2)CD3^-L-2R^+細胞の解析 パイエル板CD3^-IL-2R^+細胞の細胞表面分子の発現パターンにより細胞を分画して、IL-5の発現を調べた結果、c-kit^-細胞においてIL-5発現が認められた。これより、IL-5産生性のCD3^-L-2R^+細胞は、腸間膜脂肪組織に存在しTh2型サイトカインを産生するnatural helper cellとは異なる細胞であることが示唆された。 2.経口免疫寛容において誘導される制御性低応答化T細胞の解析 経口免疫寛容マウスから分離した腸管樹状細胞を別マウスに移入し、T細胞のIL-10発現について検討したところ、CD11b^+樹状細胞のIL-10産生T細胞の誘導能が高いことが示された。
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