研究概要 |
1.長岡らは、興味深いことに、大豆グリシニン由来の胆汁酸結合ペプチドVAWWMYが医薬品コレスチラミンと同様の胆汁酸結合活性を発揮し、in vivo(ラット)において、コレステロール吸収を顕著に抑制することを発見した。そこで、VAWWMYを鍵配列として、VAWWMYの1アミノ酸置換ペプチドを網羅的に解析した。解析の結果、胆汁酸結合活性の高機能化に重要なアミノ酸配列をいくつか特定した。高活性ペプチドを選抜し、in vitroでの胆汁酸結合活性(放射性胆汁酸による方法)を評価した結果、VAWWMYよりも強力な配列を数個発見した。そのうちの2つのペプチドはin vivoでコレステロール吸収抑制作用を発揮することを発見した。 2.大豆タンパク質のうち、主要タンパク質(βコングリシニン)のアミノ酸配列に基づき、ペプチドアレイを作製し、胆汁酸結合活性を評価する方法を新しく開発し解析した。その結果、対照ペプチドであるカゼインペプチドよりも強力な胆汁酸結合活性を有するペプチドを数個発見した。 3.ラクトスタチンのコレステロール7α-水酸化酵素(CYP7A1)遺伝子転写活性化機構をCYP7A1遺伝子プロモーターの種々の変異プラスミドを用いて解析した。たとえば、転写因子LXR応答領域の欠損プラスミド(J.Lipid Res.43, 533-543(2002))やCYP7A1を活性化するHNF4結合領域の欠損プラスミドなどを作成し、LUC(ルシフェラーゼ)を連結し、LUC分析を行なった。その結果、HNF4およびHNF3結合領域がラクトスタチンによるCYP7A1遺伝子転写活性化に重要であることを発見した。
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