研究分担者 |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318)
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70281798)
宇都木 玄 北海道大学, 森林総合研究所・北海道支所, チーム長 (40353601)
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研究概要 |
変動環境(高CO2・オゾン・窒素沈着)を樹体・林分レベルでの光合成産物の分配を制御する要因として捉え、制御環境でのモデル試験とFACE実験を組み合わせ、精度高く炭素の分配を調べることによってスケールアップし、将来環境での土壌呼吸の実態を解明する。さらに、"活力と健全性"を炭素代謝の視点から変動環境をシミュレートした実験系によって、生産期間が長年月に渡る森林の機能を樹体生理・林分レベルの応答から定量的に解明する。当初予定していた安定同位体の予備分析からは圧縮CO2の影響が小さく、樹体レベルでは追跡できなかった。そこで、もう1つの課題であるソース・シンクのバランスを確認した。萌芽葉の光飽和の純光合成速度には樹種によって異なり、シラカンバでは萌芽葉の光合成速度が大気条件及び高CO2処理で高くなった。普通葉では高CO2処理により光合成速度が高くなったが萌芽葉では高CO2と大気条件との問に有意な差はなかった。ハリギリはシラカンバと同じように普通葉に比べて萌芽葉で光合成速度が高くなった。また高CO2処理により普通葉では光合成速度が高くなったが, 萌芽葉では高CO2と大気条件との間に有意差はなかった。シナノキでは大気条件で普通葉に比べ萌芽葉で大きく光合成速度が増加した。シラカンバでは普通葉に比べて萌芽葉で葉の窒素含有量が小さくなる傾向がみられた。ハリギリでは普通葉と萌芽葉で葉の窒素含有量に違いがみられた。すなわち, 普通葉では葉の窒素含有量が高CO2処理で高い値を示したが, 萌芽葉では高CO2処理で葉の窒素含有量は小さかった。シナノキでは葉の窒素量に普通葉, 萌芽葉の違いやCO2処理の明瞭な違いは見られなかった。本研究の結果から, 萌芽葉でも樹種によっては高CO2環境下で光合成特性の負の制御が見られた。
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